「二元論」
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そもそもハイデガーは思想的転回(ケ―レ)の前には大きな文化的
転換を企てていた、と木田元は言う。それは、「『時間と存在』の
章において彼が企てていたのは、現存在(人間)を本来性へ立ちかえ
らせることによって存在了解の転回をはかり、――可能か否かは別
にして――彼なりの考えで『物象化の廃棄された』世界構造、存在
の根源的な意味にもとづく新たな世界構造を獲得すること、つまり
は、壮大な文化の転換ないし歴史の転回をはかろうということだっ
たのではあるまいか。」そして「その新たな世界構造は、生きた自
然というものと密接に連関しているように思われる。」(木田元『ハ
イデガー』岩波現代文庫・学術67) それは、形而上学的思惟によっ
てもたらされた固定化した科学主義文明の転換であり、そして人口の
限界に達した人間中心主義(ヒューマニズム)文化の転回にほかならない。
*「物象化」・・・人と人との関係が物と物との関係として現れる
こと。カール・マルクスが『資本論』で使った概念。(Wikipedia)
(つづく)