「言葉のひびき」(2)

2021-01-03 11:10:31 | 従って、本来の「ブログ」

           「言葉のひびき」


              (2)


 かつて学生運動が盛んな頃、デモ隊の学生たちを扇動する活動家

は、学生たちに「諸君!」と漢字で呼び掛けることはあっても、決

してひらがなで「みなさん!」とは訴えなかった。

22 - 全共闘 日大闘争 東大闘争 - 1968 - YouTube

 さらに言えば、戦時中、政府は国民全員を戦争遂行に協力させよ

うとの目的で「八紘一宇」「挙国一致」「堅忍持久」の三つのスロ

ーガンを掲げたが、これらは何れも漢字熟語で、この「漢字のひび

き」こそが我々に高尚な言葉のように感じられて何か上から押し付

けられている、そしてそれに応えなければならない思いにさせた。

それは、ニーチェの言葉を借りれば「声調における何か嘲笑めいた

もの、冷やかなもの、どうなりかまわんといったもの、なげやりな

もの、そうしたものが」やまとことばに慣れ親しんだ日本人に「高

尚なというふうにひび」いたのかもしれない。

                        (つづく)