(童話)万華響の日々

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読書「ユゴーの不思議な発明」ブライアン・セルズニック 金原瑞人訳の印象

2012-05-01 21:04:01 | 読書

読書「ユゴーの不思議な発明」ブライアン・セルズニック 金原瑞人訳 
アスベスト文庫2012年発行 

本書は書物としては絵本の範疇に入るのである。
最近映画化されて公開された。

ジョルジュ・メリエスというマジシャンにして初期の映画製作者の人生が、ユゴー・カブレという孤児少年との出会いによって、初めは全くの不幸な出会いと思われたものが、180度の展開が起きてユゴーがジュルジュの良き後継者になるという闇から再び光の中に入る人生模様を描いたものである。

文章の中には映画というものが生まれたときには、こんな風に捉えられていたのかとうなづかされるところがある。ジュルジュ・メリエスによれば映画はマジックのこれ以上ない実現の方法であると考えられた。

映画のアイデアはマジシャンにとって自分の器用さを実現する場であった。そこで登場するのがからくり人形なのである。人形は壊れており、修復すると、人形は思いもつかない秘密を公にする。器用な修理の技術が、人形をよみがえらせ、イルージョンのようにあっと思わせる結果に観衆は驚くのである。このようなこと自身が映画で実現されているかのようである。


メリエスは夢見る力がありさえすれば、どんなことも不可能ではないことを教えてくれた。


ユゴーがいう言葉の大事な一つは、世界は一つの複雑な機械、どんな人も皆その機械の部品であり、目的を持っているというのがある。そんなことをいえば、我々の人生は機械の一部かと文句がでてきそうだが、そうではなく誰でも生まれてきたからには独特の目的を任されて生きている、それらが全て関係しあって世界という大きな一つのいのちが生きているのだと語っている。


夢見ること、希望を持つこと、これが人生を支え具体化されるということも大きなメッセージである。夢見なければ何も創造されないであろう。ユゴーやメリエスの言葉を通して訴えかける作者の主張が読者の胸を突くではないか。


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