数年前にネットオークションで入手したコロンビアの 7-T1(昭和29年4月発売)7インチのテ
ーブル・モデルとしての同社 1号機です。入札する前にオリジナルの程度を質問した際、全て
オリジナルとのことで期待していたが(途中予算を超えて仕舞ったので諦め掛けたが三重の知
人から励まされて落札して仕舞った)届いた物には幾つか改造点が見られガッカリしてそのま
ま棚に上げて仕舞っていた。 先日オーディオ機器を修理の為にお持ちになった方が興味を示
されたので近々レストアを始め様と考えていたが明日からは可也忙しくなるので今日入手後初
めて内部を診てみた。 この種のテレビの修理、改造に付きましてはこちらの ホームページ
https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い合わせ下さい。
上はオリジナルのチューナーの回路で、実はここに最も興味を持っていた。 当時この
受像機を設計された方のアイディアが溢れているこのチューナーは RF 非同調、1-6 Ch
を Low,High の二つのグループに分け局発をたった 2Ch (12MHz)分動かすだけで 6Chを
カバーすると云うものです。つまり上下のヘテロダインを上手く使い同じ周波数でLow
の 1Chと Highの 4Ch(同様 2Chと 5Ch、3Chと 6Ch)を受像可能としている。これでも
当初NHKは 3Ch 日本テレビが 4Chだったので問題は無かったがやがて東京放送 (現TBS)
が 6Chで放送を始めた為この方式が使えなくなった。当然と云えばそれまでだがチュー
ナーは 12Chの物に交換されていた。 【訂正】上の受信Chの説明に誤りが在りました、
詳しくはこの機種、2台目の記事(2012年1月30日)をご参照下さい。
次は上の音声検波だが、何と映像増幅の出力をそのままディスクリでFM検波して
おり通常使われる1-2段の音声IF段を省いている。
同期分離も 12AU7 の片方のみで後から出てくるが同期には難が在る。 因みに水平
偏向回路に AFC は無く、また水平出力は 6BQ6 単球の自励発振回路となっている。
(水平同期は思いの他安定していた)垂直偏向は 12AU7 単球だったが十分な振幅
が得られていた。 しかし垂直同期が不安定だったが今日原因は見出せなかった。
下の画像は偶々同期が取れているが実際は垂直同期は殆ど取れて無い。
しかし垂直同期以外には特に問題は診られず流石コロンビアと云える。 これは上の
画像にも見られる(青磁の様な色の)碍管に詰めた構造のコンデンサの信頼性の高
さに依るものでこれまでに手掛けたコロンビア製のテレビでも同様だった。
折角コンデンサ類がオリジナルだったので極力そのまま活かしたいので一つ一つを
チェックしてみた。 結果垂直出力の g-k 間に入っている 0.03μF のみに絶縁不良が
診られたので交換した。 他に映像検波と同期分離を担当している 12AU7 の片側の
gm が低く一瞬これが同期の問題の元凶かと想ったが残念ながらここでは無かった。
実際の回路では上のコンデンサは垂直出力のg-k間に入っていたが回路図では途中
2KΩと0.03μFがパラになった物が入っており、これを試してみる価値が有りそう。
同期分離の出力波形には可也映像信号が残っていた。 サテどう回避するか? 若干
電源にリップルが感じられたのでケミコンを外付けしたが少し改善されただけだった。
1月29日 1段だが積分回路の出力を診てみた。 波高値は約8Vp-pでこれなら
同期はギリギリ掛かるのでは無いかと想われるレベルだった。
回路図に在った 0.03μFと 2KΩ のパラを念の為に加えてみた。 若干同期は改善された
様で一応見られる様にはなったが完全とは程遠く、電源のリップルを減らしてみる必
要が有りそうだった。