透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「信濃路文学の旅」

2024-01-22 | A 読書日記

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 ブログに取り上げるのが遅くなってしまったけれど、上掲した「信濃路文学の旅」の①から④の4冊を昨年末に松本在住のKBさんから送っていただいていた。

長野県が舞台の小説などの文芸作品を地域別に収録(小説などは部分収録)し、それぞれの作品の解説文を載せている。三人の編著者は同じ高校の教諭だった方々。その中のお一人藤岡改造先生は私が在校していた時にもおられた。そんなこともあり、『幽霊の出ない話』を40年以上も前に読んでいる。


『幽霊の出ない話』藤岡改造(審美社1979年)
**俳諧の宗匠藤岡筑邨が、本名の藤岡改造を名のって、こんなに鋭く、おもしろく、ユニークな作品集の作者であることを知って、オドロキ、モモノキ、サンショノキである。**帯の文章の前にこの文章が書かれている(臼井吉見の書評)。

長野県が舞台の作品としてまず浮かぶのは北 杜夫の『どくとるマンボウ青春記』。4冊の中の②〈松本・安曇〉にその一部が収録されている。また①〈北アルプス〉には『幽霊』の一部が収録されている。掲載されているのはあの場面だろうな、と思って確認すると当たっていた。

目次を見ると川端康成、志賀直哉、島崎藤村、辻 邦夫、井上 靖、芥川龍之介、松本清張、森村誠一、檀 一雄、野上弥生子、永井路子、福永武彦、野口雨情、立原道造・・・、よく知られた作家や詩人が何人も。収録されている作品の大半は未読、隙間時間に読むのにちょうど良い。

本を送って、いや贈っていただいたKBさんに感謝しなくては。ありがとうございました。


 


半鐘の龍頭

2024-01-22 | A 火の見櫓っておもしろい

 なぜ梵鐘(火の見櫓の半鐘も同様)のつり手の飾りに龍が使われているのか。今まで特に疑問にも思わなかったが、FBに半鐘とその頭部の龍頭(竜頭)の写真(①  ②)を載せたところ、ある方からこのことを問うコメントをいただいた。それで調べてみた。




龍頭 二頭の龍頭が相反する造形、宝珠を載せている。この先は仏教の世界。龍は何を銜えているのだろう・・・。

火の見櫓の専用品としてこのような半鐘が鋳造されていたのであれば、龍は水を司る神であるから、火除けの願いを込めたのだという説明も出来るだろう。だが、そうではなくて寺の梵鐘でサイズが小さいものを火の見櫓の半鐘として用いたのだから、この説明は合理性を欠く。

今はネット時代、検索すると何らかの答えが見つかる。蒲牢(ほろう)という中国の神話に出てくる想像上の動物に行き着いた。咆えることを好み、また鯨を襲った時に鯨の咆えるのを聞くことも好むという。それで鐘の音が大きく響くように願って蒲牢をつり手部分の飾りにした、ということだ。蒲牢は龍の子だから姿が龍とよく似ている。それで、龍頭と呼称するようになったのだろう。


尚、この半鐘は松本市寿の火の見櫓(写真③)に吊り下げられていたが、火の見櫓は既に撤去され、半鐘は保管されている。このことについて既に書いた(過去ログ)。