透明タペストリー

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「生き物の「居場所」はどう決まるか」を読む

2024-01-26 | A 読書日記

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『生き物の「居場所」はどう決まるか』大崎直太(中公新書2024年)

 中公新書の1月の新刊『生き物の「居場所」はどう決まるか』『在日米軍基地』『カーストとは何か』『日本の経済政策』の4冊の内、前の2冊を買い求めた。先に『生き物の「居場所」はどう決まるか』を読んだ。

『生き物の「居場所」はどう決まるか』のサブタイトル「攻める、逃げる、生き残るためのすごい知恵」の攻めるのも逃げるのも生き残るための行動だ。植物VS植物、動物VS動物、それから植物VS動物。観察、研究によって明かされる生き残るための攻防。本書には生き物たちの巧妙な生き方に関する古今の様々な研究が紹介されているが、単なる研究史ではない。

本書には次のようなことを示す図表がいくつも掲載されていて、それらは記述内容の理解に有効だ。大陸からの距離と島の面積と鳥の種数の関係、ワラビを食べる植食性昆虫の食べる部位と食べ方の関係、熱帯雨林における中規模攪乱仮説、4つの異なる段階で起こると考えられる繁殖干渉、ギフチョウとヒメギフチョウの分布境界、等々。

本書の内容を自分のことばで紹介できれば良いのだが、多岐にわたる内容を簡潔に要約してまとめるほど理解が深まってはいないので(と言い訳をして)、カバー折り返しに記されている本書紹介文から引用したい。**生き物の居場所=ニッチは、なぜそこに決まっているのか。これまでに餌や配偶者の存在などの理由が考えられてきたが、実は天敵の不在こそが何よりも重要なのだ。生き物たちの巧妙な生き方から、天敵不在と繁殖干渉という、生態学の核心的概念を紹介する。** 天敵不在も繁殖干渉もなんとなく意味内容が浮かびはする。それぞれ一章を割いて、具体的な事例を挙げて説いている。

へ~ そうなのか・・・、知らない世界のことを少しだけでも知ることは実に楽しい。そのための読書はこれからも続けていきたい。