透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

C9「狐花火 羽州ぼろ鳶組⑦」

2023-01-31 | A 読書日記


 「狐花火 羽州ぼろ鳶組⑦」今村翔吾(祥伝社文庫2018年)を読み始めた。C9、図書カードで購入した本はこれまで拙ブログに載せた9冊。図書カードは大変うれしいプレゼントだった。

「狐花火」のカバー裏面の紹介文から引く。**天才花火師と謳われるも、愛娘を花火の事故で喪い、妻も世を儚み命を絶つ――。明和の大火の下手人秀助は、事故の原因たる怠惰な火消に復讐を誓い、江戸を焼いた。(中略)江戸の火消が再び結集し、猛り狂う炎に挑む。**

**火付けの下手人は元駿河台定火消を狙っている。一方の番付け狩りは、番付に載っている者を無差別に狙っているのではないか。(後略)**157頁
**両国橋の東詰にある回向院は、大相撲の興行場所だった。**172頁 
両国橋は明暦の大火(1657年)の数年後に架けられた。火災の際の避難経路の確保という意図で。回向院には今年お参りしたいと思う。
**場所は小川町定火消屋敷。江戸は北から南に風が吹くことが多く、この場所は実戦を想定した訓練に向いているからだった。**185頁

定火消の屋敷の所在地を調べたので、このような記述が出てくるこのシリーズを読むことがますます楽しくなってきた。 もちろんストーリーの展開もおもしろい。




国土地理院の地図上に江戸時代に設置されていた火消屋敷の所在地をプロットした。⑧は小川町ではなく、小石川伝通院前を示している。
前稿にのせた「江戸の主要防火政策に関する研究 ―享保から慶応までの防火環境とその変遷について―」に示されている図、その他の資料を参考に作成した。所在地は概ね〇内に入ると思われる。しかし正確にプロットできていなくて〇外の可能性もあることを付記する。江戸の地図情報を現代の地図情報に正確に置き換えることは難しい。