透明タペストリー

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C3 小松左京の「果しなき流れの果に」を読んだ

2023-01-13 | A 読書日記


『果しなき流れの果に』小松左京(ハルキ文庫1997年第1刷発行、2020年新装版第2刷発行)C3(図書カード3冊目)

 今月6日、初詣帰りに立ち寄った書肆 朝陽館(@長野市南長野新田町)で『果しなき流れの果に』を買い求めた。

ティラノサウルスが剣竜を襲う・・・。中生代、白堊紀。恐竜の時代からものがたりは始まる。その後の時空を超える展開は目まぐるしい。アーサー・C・クラークの『2001年宇宙の旅』とその続編、ジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』などの名作を想起させる。

**「二十五世紀で、三十世紀で、達成された認識を、全面的に一万年前の世界に、フィードバックするんだ!一万年前の世界に、三十世紀の科学と知識をうえつけるんだ ― 一万年かかってやっと到達できる知識を、もう一度もどしてやるんだ」**(366頁) 歴史改変問題。

**(前略)認識には、終焉はない。あるのはかえって、時間のほうだ。空間は曲がっていて、閉じられている。とすれば、時間もまた、有限で閉じられている。空間と同じように、始めと終りがつながる。終焉は初元とつながるのだ。だが、時間が終ったあとも認識は発展する。認識することは、時空間とはまた別な方向へ、意識が脱出して行くことだ。ちがうかね?**(121頁) 意識の認識。

10億年? 壮大な時空トラベルの果に、再びめぐり合う一組の男と女。小松左京はものがたり的な要素を組み込むことを忘れてはいなかった。男と女の再会は『復活の日』でも同様に扱われている。

僕の理解が到底及ばない思索的世界。空間とは何か、時間とは何か、意識とは何か? 小松左京が哲学的思索をSF小説に仕立て上げた作品、と括っておく。