哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

五月雨の 子規(書)

2007-06-15 06:07:03 | 
五月雨の雲ばかりなり箱根山      正岡子規

 きょうから旧暦は5月。まさしく、これからの雨は五月雨といえる。きのうは中国から関東甲信までが梅雨入りしたと見られと気象庁は発表した。句は箱根まで来たが、いつもなら近景に富士山が見られるのだが、梅雨時、雨雲ばかりで景色どころではないと落胆している様子が浮かんでくる。今後約40日間どこの山からも眺望はきかない。

柳生花菖蒲園(写真)

2007-06-14 07:42:09 | 写真
俄雨きて東屋は混みへり
柳生の里の花菖蒲園      樋田哲夫

 柳生の里には古くからハナショウブ園があり、花の咲く約1ヶ月間開園している。狭い谷筋を上手く利用し、こじんまりとした園で楽しめる。訪ねた時は俄(にわか)に雷が鳴って激しい雨に襲われた。入園者はあわてて東屋に逃げ込み、止むのを待った。狭い東屋は人であふれんばかりで、雷がなるたびに大騒ぎであった。

青のアサガオ(墨彩画)

2007-06-13 07:30:27 | 墨彩画
このあした朝顔二つ開きけり
今年は万余咲かせるが夢         樋田哲夫

 アサガオの花の清清しさは夏の朝に涼感を呼ぶ。まだ、暑くならない一日の朝にやさしく心を和ませてくれる。毎年1株が芽を伸ばして1500ほど咲いてくれて楽しめる。今年は8株に増やした。ひと夏で万を軽く越える予定。道路沿いのフェンスに見事に咲く花を道行く人々にも楽しんでいただける。にほんブログ村 美術ブログへ 

雲の峰 子規(書)

2007-06-12 06:07:55 | 
雲の峰ならんで低し海の果て      正岡子規

 雲の峰は入道雲のことで、先端は夏の強い日差しに照らされて境界がくっきりした山のようになる。秋雲のように先端が薄くぼやけることはない。それを俳句の世界では雲の峰と表現する。遠くの海に低く並んで浮き立っている様は大きな景である。梅雨の中休みでも暑い日にはこんな光景が時に見られる。

柳生の里ウォーク(写真)

2007-06-11 06:18:43 | 写真
いくつかの山坂越えて剣豪が
奈良へ通ひし街道歩く          樋田哲夫

 旅行会社の「柳生の里ウォークまつり」に参加した。各地の営業所からバス24台、約950人。奈良と柳生を結ぶ全長19キロの柳生街道はいくつもの峠があるが、当日は約6㌔コースの阪原峠越え。東海道自然歩道にもなっている街道は田園地帯からすぐに杉木立の中の急坂な石畳となる。途中寺や史跡も点在する。

金魚の憩い(墨彩画)

2007-06-10 07:01:21 | 墨彩画
照らし出す強き灯りに子どもらの
眼輝く金魚のすくひ          樋田哲夫 

 夏の夕べを涼しく過ごすために5月になると街の広場や、旧道に夜店が開かれる。月3回8月ごろまで続く。金魚すくい、たこ焼き、おもちゃ、水あめ、植木などおなじみのものだが、子どもが喜ぶのでよく連れて出かけたものだ。40年前のことになる。今も、5月になると開催を知らせる張り紙が電柱などで見かけので続いている。 にほんブログ村 美術ブログへ

松風を 竜之介(書)

2007-06-09 06:05:44 | 
松風をうつつに聞くよ夏帽子          芥川竜之介

 松風の凄みを子どもころに経験した。木曽川の土手に200~300㍍は続く松林がある。強い季節風が松の枝を激しく揺すり、こすれあう音は地獄の底からのうなりに似て縮み上がった。離れた場所からも聞けた。松風はあの時1回で、以来冬のものと思いこんでいるが、季語ではない。そこへこのが夏帽子とあるから理解は複雑である。

盛りのタチアオイ(写真)

2007-06-08 06:32:44 | 写真
境内の日当たりのよき一所
歳々相似て咲く立葵         樋田哲夫

 市内のある古寺に毎年タチアオイを咲かせている場所がある。森が風除けとなって日当たりがよく、色も鮮やかに、この時期楽しめるので出かけることにしている。管理している古老に尋ねると、株が勝手に芽を伸ばして咲くという。なんと自然任せである。2㍍ほどの丈につぼみがまだ多数ついているので今しばらく楽しめる。

分け入りて村里(水墨画)

2007-06-07 07:04:20 | 水墨画
初めての挑みとなりてはすかひに
村里高く薄き雲描く           樋田哲夫

 自然が豊富に残る村里はいい。虫や鳥の鳴き声が日常的に聞かれる。夜は夜で昼間とは異なって夜行性のフクロウやカッコウが初夏の季節を告げるし、満天に輝く星をも見上げたくなる。風があれば木々のそよぎに風速を敏感に感じさせる。人間が作り出す喧騒の都会よりも詩情豊かな田舎がいい。にほんブログ村 美術ブログへ 

行く雲を 野坡(書)

2007-06-06 06:53:18 | 
行く雲を寝てゐてみるや夏座敷       志太野坡

 志太野坡(しだやば)は越前福井生まれ、「蕉門十哲」の一人。江戸に出て其角に俳句を学ぶ。後芭蕉に師事。大阪天王寺区の宝国寺に墓がある。昔の夏の暮らしは家を開放して涼風をとりいれた。蚊も家の中に入り、夜は香取や寝るには蚊帳が必要となる。座敷で寝ながら夏雲が流れていく様子を見ている。現代では生まれない句である。

りんくうゲートタワービル・その2(写真)

2007-06-05 06:18:56 | 写真
ゆるぎなく五月の空にビルの建つ
大阪湾の海埋め立てて        樋田哲夫

 りんくうゲートタワービルは関西国際空港の玄関口として1996年に竣工。当初2棟が計画されたが、バブルのはじけで1棟に変更。建設された土地はかっては海で埋め立造成地に建設されている。この超高層ビルは泉州地方のシンボルとして遠方からもよく目立っている。

タチアオイの季節(墨彩画)

2007-06-04 05:56:28 | 墨彩画
蒸し暑き風をさやけく受け止めて
順に上へと咲く立葵        樋田哲夫

 タチアオイは高さ約2㍍に伸び、1本に多数のつぼみをつけて順に上へと咲く。花も大きく色も豊富で優雅である。特に梅雨の晴れ間の蒸し暑いとき、日を浴びて風にそよぐ様はよく似合う。数日前から朝の散歩道に見かけるようになった。ここしばらく気品のある花を楽しめる季節がめぐってきた。にほんブログ村 美術ブログへ 

焚火して 白雄(書)

2007-06-03 05:46:41 | 
焚火してもてなされたるついり哉         加舎白雄

 白雄は江戸中期の信州上田の人。ついりは梅雨入りのこと。梅雨冷えの言葉がある。梅雨時の小寒い日のことで、焚火して厚くもてなされたという。鹿児島地方気象台は1日九州南部が梅雨入りしたとみられると発表。その後1週間以内に九州北部~関東までが梅雨入りするらしい。近畿地方も梅雨入りは秒読みの段階に入ったといえる。

りんくうゲートタワービル(写真)

2007-06-02 04:25:58 | 写真
頂上は晴れたる空と語るがに
りんくうゲートタワービル見ゆ      樋田哲夫

 超高層ビルを仰ぐと胸のつかえも解消され、大きな心になる。建物の大きさからくる悠揚さに対抗するのか、見るものの心まで寛大になる。素人のカメラではアングルを真下か撮れなくて、迫力ある写真にはならず、遠景で残念である。高さ256㍍、国際会議場、オフィスビルフロア、展望台、レストラン、ホテルなどがる。

無垢の白百合(水墨画)

2007-06-01 06:03:16 | 水墨画
貰ひてか妻の活けたる一輪の
百合玄関に強く香れり        樋田哲夫

 外出から帰宅すると、もらい物か玄関に一輪の百合が活けられて、強く香っていた。結構顔の広い妻が誰かに頂いたものだろうと推量するだけで尋ねもしなかった。バラよりも香りが強く、一輪あるだけで気づかされた。ユリは温帯地方に多く約60種あるとか。色もさまざまだがオーソドックスで白く輝くテッポユリの白さがよい。にほんブログ村 美術ブログへ