気になる過去問であり 質問も多い肢を含んでいるので 問い方を変え 解説も要点をより
絞り 再度 載せさせていただきます
区分所有法及び民法の規定並びに判例により答える という問題でした
本日の過去問学習での問題を 仮に個数問題だとしても確実に解くには 以下のことあたり
を知っていたかどうかでした
※ 『裁判で 賠償請求するとして 弁護士費用も請求できるのかどうかについて
貸金を返してもらう場合 と ケガをさせられて賠償させる場合 とでナゼ
扱いが違うのだろう お金を返してもらう場合には弁護士をつけてもその費
要までは裁判上の請求に含ませることはできない と学んだけれど ドコが
ドウちがうからそのような差ができてしまうのだろう』 と疑問を持ったよ
うな方は おおよそ 気になって より調べていた のでは・・・
〈しかし 本番試験では消去法で答え得る問い方であった(正解肢以外は条文ソノママと
いうレベルのものだった)ので正解率は高かったと考えられます が・・・
いわゆる実力ある受験者にとっては 一種の肩すかし的な心情になったではなかった
かと 推察されてしまうのです(思考力・知識力などさほど必要なく答えられる一問
だったので〉
マンション管理費等滞納者に対する請求訴訟で要した弁護士費用
を
損害賠償
として
請求できるのか
相当因果関係にある損害(そのようなことが起きてしまった場合 それに関して費
やされ生じたものだとして滞納金同様に請求できることに問題は無い と 捉える
ことが 一般的に認められるべきもの)なのかどうか が 問われる
※ 滞納者から『そんなものまで 払わなければならないの ? 』と言われた
場合に法的に対抗できるものかどうか ということ
" どんな理由があって 滞納金のほかに弁護士費用の分などというものマデ
モ払わなければならないんだ ” というような ゴタゴタが想定される
損害といっても 債務不履行によるもの と 不法行為によるもの とは異なる
不法行為の場合 <相当な範囲の額ならば 弁護士費用を含めての請求も可>
というのが 判例
要旨の一部
[ 訴訟活動において、一般人は十分に訴訟追行をなし得ない。
不法行為の被害者が損害賠償請求訴訟を弁護士に委任した場合の弁護士費用は、事案
の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範
囲内で、相当因果関係に立つ損害といえる。 最高裁判決 昭和44・2・27]
ですが
金銭を目的とする債務の履行遅滞による損害賠償の額は、本条(民419)の反面として、
たとえ約定又は法定の利率以上の損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求するこ
とはできず、弁護士費用その他の取立費用も請求できない。
:同事件の別掲載要旨:
金銭債務の履行遅滞を理由とする損害賠償は、損害の証明を要しない反面として、約定
または法定の利率による額を超える損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求す
ることはできない。(弁護士費用その他の取立費用の賠償を否定)。
(最判昭48・10・11)
請求額に含めてしまっていいのかダメか
(その不履行に通常発生する損害とはいえないからなのか
419条の金銭債務の特則があるから弁護士費用は請求できないのか )
というような議論をもしなくていいように
標準管理規約には 違約金(賠償額の予定)として弁護士費用も組み込まれています
金銭債務の不履行による損害賠償として 債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を
請求することはできない(最判昭和48・10・11)というものがあるので 別途に
請求できる違約罰(賠償金ではなく 制裁金のようなもの)として弁護士費用を請求す
ることができるとして 標準管理規約に定められた と解されているようです
参照 (東京高判平成26・4・16)
(東京高判平成26・4・16)は
〔管理規約の文言も「違約金としての弁護士費用」とするよりも
「管理組合が負担することになる一切の弁護士費用(違約金)」
との文言とするほうが望ましいといえよう〕 とも 述べています
ということで
本日の マンション管理士過去問学習
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2015年度
問 10
【 問 10 】
甲マンション管理組合(以下「甲」という。)の区分所有者Aに対する滞納管理費等の
請求に関するマンション管理士の次の意見のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判
例による正誤を答えなさい。ただし、甲の規約は標準管理規約と同様であるものとする。
1 甲は、Aに対して未払金額とそれに対する規約所定の割合による遅延損害金、違約
金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して請求することができ
ます。
2 甲は、Aに対して違約金としての弁護士費用を請求することができますが、これは、
契約上の金銭債務の不履行による損害賠償として弁護士費用を請求する場合と同様
です。
3 Aが違約金としての弁護士費用の支払いを遅延したときは、甲は、Aに対して民法
所定の割合による遅延損害金を請求することができます。
4 Aの滞納管理費等に係る債権の時効による権利消滅の効果は、5年の時効期間の経
過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的
に生じます。
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1 について 正しい
(管理費等の徴収) 標準管理規約(単棟式)
第60条
2 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理
組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金として
の弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対し
て請求することができる。
2 について 誤 り
「契約上の金銭債務の不履行による損害賠償として」ではなく「違約金」
として と されていますので 「同様です。」とはいえないので誤っ
ています
(損害賠償金と違約金との性質の差異などの上記に掲載の判例などのこと
を参考になさってください)
※ 極くシンプルに表現してしまうと
債務の不履行に対する損害賠償の請求は その不履行によって
通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とするのであ
るけれど 弁護士費用などはそれに該当しないだろう
ということ(金銭債務の履行遅滞を理由とする損害賠償は 損
害の証明を要しない民法419条の反面として請求制限があり)
そこで 違約金 というもので 請求する
3 について 正しい
金銭給付目的の債務の不履行については 原則として 法定利率による(民419①)
違約金としての弁護士費用の支払債務は金銭債務なので Aに対し 甲は民法で定め
られている割合の遅延損害金の請求ができる
4 について 正しい
時効は援用が必要となる
(時効の援用)
第百四十五条
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の
消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによっ
て裁判をすることができない。
時効が援用されたときに はじめて確定的に債権消滅の効果が生じる
(最判昭和61・3・17)
〔参考メモ・・・上記の繰り返しになっているものもありますが・・・〕
:損害賠償をしてもらうには
請求することの理由となる事実があること と それによる損害額 と その両者の
ことに因果関係があること というような請求側の証明
と
請求をされる側から その責任の無いことの証明が無いこと
(そのようなことを請求するのを許すことは おおよそ 誰しもが認めないだろう
なぜかというと 損害が生じたとしても それは仕方が無いことで非難することが
できないことなのだから 害が生じたとしてもその責任を負わせるわけにはいかない)
というような証明が請求される側からなされていないこと
が必要とされるのが おおよそ 原則
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(債務不履行による 損害賠償)
第四百十五条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、
債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の
不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰
することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
(損害賠償の範囲)
第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害
の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであった
ときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、
債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定
利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
(賠償額の予定)
第四百二十条
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。
(不法行為による 損害賠償)
第七百九条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
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: 契約関係者間などの場合の 債務不履行の場合の 損害賠償請求
と
第三者から自分の権利などを侵害された場合の 不法行為の場合の損害賠償請求
と
損害賠償請求 なのですから 概ね どちらもホボ同様の 前記のような要件などが
必要であるともいえるでしょう
ただ 金銭債権の場合の債務不履行などでは 損害額 の証明などは不要であるし
履行することが不可能だったのだ というような証明をして責任を免れるというこ
とは ソモソモ お金というものの性質上 許されていません
(民 419<金銭債務の特則>)
: ともかく
損害賠償としての弁護士費用の請求 と
違約金 としての弁護士費用の請求 は異なるのだ
という理論で 事は進められています
: 債務不履行 の場合 であっても 次のような判例も 出ていたりします
要旨の一部
[ 労働者が、使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請
求するために訴の提起を余儀なくされた場合の弁護士費用について、事案の難易、請
求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のもの
に限り、安全配慮義務違反と相当因果関係に立つ損害である。
最高裁判決 平成24・2・24]
: あらためて 違約金 とは ?
(賠償額の予定)
第四百二十条
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。
※ 賠償額の予定 とは 〈不履行があったなら
そのことだけをもって
支払義務が生じる
というようなもの〉
※ 改正前には 「裁判所は、その額を増減することができない」
という文言も登場していました が 削除されています
けれども 解釈に今までとの変化はないとの解説が多いです
:規約に定めがない(違約金として請求できる との60条のような定めがない)として
不法行為に基づく損害賠償請求でもなく金銭債務の不履行を問う場合である とすると
弁護士費用までも含めての滞納管理費等請求はダメなのか と問われれば そのとおり
との判例〔東京地判 平成26・9・22〕 などがあるので
標準管理規約 などを参考にして各マンション管理組合は 規約 を点検しておくべき
: 関連の話題なのですがマンションの管理費等の滞納金回収のため弁護士等に依頼することは
その形が必須ということでもないので(自身は 可能な限りでの自主的な行動を管理組合に
奨めています
標準管理規約コメントなどに イロイロ その方法の説明がなされたりしていますし
学習などをして知識を身につけ 裁判所に訊ねながらとかの対処も考えられることで 必ずし
も 専門家の力を借りてそうとうな委任費の出費は覚悟しなければならない というものでも
ないといえます
額も定まっていて 定期的に払わなければならないものを払わずに 規約(管理組合員間の約
束ごとである)を破っている者を相手にした場合を想像してみてください
相手方の言い分など想定できますか? どのような反論がありますでしょうか ?
『トニカク払いたくなかった』 とでも言うのが関の山では?
そのような裁判に敗訴するなどということが 通常の場合〔トテツモナク奇異なケースを除いて〕
専門家に依頼しなかったためだ と いうことがあるでしょうか ?
訴訟技術など要求されるものでしょうか ?
今 どの公の窓口も 以前に比し とても親切なところが増えています
テイネイに 相手をして教えていただけることが多くなっています
マンション住人さんのなかにも そうした知識をお持ちの方(法学部出身などの方など)おられる
なら なおさら 委任無しの 自らの訴訟は可能だ と 自身には思われます
もっとも 〔管理費等滞納金請求訴訟〕 などをしなくて済むように 管理運営の充実を図る努力
を継続することが よりタイセツなこと 当然
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本日のブログの ホボ 素になっている 掲載記事 は
弁護士費用はどうなるの? - おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み (goo.ne.jp)
です
はたけやまとくお事務所