おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

後継ぎ遺贈 ということなども思う

2023-08-20 | マンション管理関連試験等サポート   

 

 事業承継 の こと などとも絡んで・・・

〔 食堂としての建物とその敷地 を に与え の死後はにそれら不動産を移転する 〕

という内容の遺言は 有効か ?

いわゆる後継ぎ遺贈(後継ぎに順々に帰属させることとする内容 の 遺贈)の問題ですが

が処分してしまったなら への帰属のことは どうなってしまうのか ?

の債権者にその不動産を差し押さえられたら との関係もあるし どのような法的処理
になるべきなのか ?

などなど 論点は いろいろ

 

甲が保持しているのは 自分が生きている間の利用権 だとするような権利を 法的に認め得るか ?
遺言者が自分の死後の財産について 複数人に順々に帰属させるなどという行く末を調整すること
も許されるべきなのだろうか 
どの範囲までのことを 自己の遺志だけでカバーでき得るとするのが妥当なのか ? 

後継ぎ遺贈のことについては判例(最高裁昭和58年3月18日判決)もあったりしますが 現行
の法律上では有効性に争いがあって それらの点をハッキリと判示している判例が まだ存在して
いません

 

夫婦間において 自身の死後の相手の住処についての心配は ナンバーワン 重大なことでしょうね
相続人が他にいる場合は それらの者への考慮もあるでしょうから ナカナカ 考えをまとめること
そうとうなエネルギーを要せざるを得ないでしょうね

 

配偶者居住権の相談を受けているうちに

所有権を得るのではなく 無償で利用する権利 を 得る (利用させる側は所有権を有する
者とはなるのだが 利用側が健在である限り無償で終生利用を許さねばならない義務者となる
(期間を設け得るが)
とか 
遺言者の思いの尊重 
とか
残される者同士 当事者間においての より妥当な調整
とか

という言葉などから 後継ぎ遺贈のことを連想してしまったのでした

 

さて 

本日の マンション管理士試験過去問題学習 です

極く近年の問題

ですが しばらく 何度でも問われるであろう 重要な改正に係わることと思われます

 

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2020年度 

〔問 17〕 

甲マンションの 102 号室にAとBが同居し、AがBと同居したまま令和2年7月
1日に死亡した場合における次の記述のうち、民法の規定による正誤を答えよ。
ただし、AにはBのほかに相続人がいるものとする。

1 Aが配偶者Bに対し令和2年6月1日に配偶者居住権を遺贈した場合でも、
甲マンションの 102 号室がAとBとの共有であったときには、Bは配偶者居住
権を取得しない。


2 甲マンションの 102 号室がAの所有であり、BがAの配偶者であっても、配
偶者居住権を遺産分割によってBが取得するものとされず、また、配偶者居住権
が遺贈あるいは死因贈与の目的とされていない場合には、Bは配偶者居住権を取
得しない。


3 甲マンションの 102 号室がAの所有であり、Aが配偶者Bに対し令和2年6
月1日に配偶者居住権を遺贈した場合でも、BがAの内縁の配偶者であったとき
には、Bは配偶者居住権を取得しない。


4 甲マンションの 102 号室がAの所有であり、BがAの配偶者であっても、A
がBに対し令和元年6月1日に配偶者居住権を遺贈あるいは死因贈与した場合に
は、配偶者居住権を遺産分割によってBが取得するものとされない限り、Bは配
偶者居住権を取得しない。

 

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1 について                       誤 り

配偶者居住権に関する規定は 令和2年4月1日に施行されたので 肢における
配偶者居住権の遺贈は有効である
102号室を被相続人と配偶者とで共有していたのであり 被相続人の財産に属
した建物に相続開始の時に居住していたので 配偶者Bは配偶者居住権を取得す
る要件を充たしていることになり 配偶者居住権を取得する


下記 1028条 を 参照ください

 

 

2 について                       正しい

 配偶者居住権は 配偶者の居住権を保護するために認められた法定の権利なので
 発生原因となる法律行為についても法定されていて 遺産分割・遺贈・死因贈与
 に限定されているが 肢においてはそのいずれにも該当しないので Bは配偶者
 居住権を取得しない


下記 1028条 554条 を 参照ください

  ※ 被相続人は 生前に配偶者との間において配偶者居住権を目的とする死因
    贈与契約を締結することもできる
    〔死因贈与については その性質に反しない限り遺贈の規定が準用される〕

 

3 について                       正しい

 肢のBは 法律上の配偶者ではないので 配偶者居住権を取得しない
 (配偶者居住権は基本的には遺産分割等においての選択肢を増やすという趣旨で
  創設されたものだが 内縁の配偶者は そもそも相続権を有していないことな
  ど が 取得しない理由に挙げられている)

            ※ 〔配偶者という表現は 法律上の配偶者(婚姻によって
               ということを前提にしている言葉と解されていると
               思うので 
内縁の妻とは呼ぶが内縁の配偶者という
               表現はとても珍しく(自身にとっては
初経験 
               特に国家資格試験問題内に登場とはビックリ
               ・・・皆さんはいかがですか ?〕

 

4 について                       正しい

 配偶者居住権に関する規定は 令和2年4月1日施行でした
 配偶者居住権に関する規定は 施行日前にされた遺贈については適用されない
 ので 肢におけるBは配偶者居住権を取得しない


下記  附 則 (平成三〇年七月一三日法律第七二号) を 参照ください   

 

 

                 

 

                                                                               

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                                                                         記

 

(配偶者居住権)
第千二十八条 
被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産
に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当
するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全
部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」とい
う。)を取得する。
ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあ
っては、この限りでない

 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき
 
(死因贈与)
第五百五十四条 
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈
関する規定を準用する。

 
 
附 則 (平成三〇年七月一三日法律第七二号)
 
(施行期日)
第一条 
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行
する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第二条並びに附則第十条、第十三条、第十四条、第十七条、第十八条及び第二十三条か
ら第二十六条までの規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定め
る日

(民法の一部改正に伴う経過措置の原則)
第二条 
この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に
特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。
          
(配偶者の居住の権利に関する経過措置)
第十条 
第二条の規定による改正後の民法(次項において「第四号新民法」という。)第千二十八条
から第千四十一条までの規定は、次項に定めるものを除き、附則第一条第四号に掲げる規定
の施行の日(以下この条において「第四号施行日」という。)以後に開始した相続について
適用し、第四号施行日前に開始した相続については、なお従前の例による。
 第四号新民法第千二十八条から第千三十六条までの規定は、第四号施行日前にされた
については、適用しない。
 

 

 

 

参 考
   配偶者短期居住権 の 条文を載せておきます 〔この施行 令和2年4月1日〕         

第二節 配偶者短期居住権
(配偶者短期居住権)
第千三十七条 配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、
次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下こ
の節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において
「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを
無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配
偶者短期居住権」という。)を有する。
ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第八百九
十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。
一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日

二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から六箇月を経過する日

2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法によ
り配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。
3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申
入れをすることができる。

(配偶者による使用)
第千三十八条 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従
前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。
2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。
3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によっ
て配偶者短期居住権を消滅させることができる。

(配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅)
第千三十九条 配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、消滅する。

(居住建物の返還等)
第千四十条 配偶者は、前条に規定する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物の返
還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物取得者
は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。

2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相
続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場
合について準用する。

(使用貸借等の規定の準用)
第千四十一条 第五百九十七条第三項、第六百条、第六百十六条の二、第千三十二条第二項、第千三十三
条及び第千三十四条の規定は、配偶者短期居住権について準用する。