おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

利害の衡平性 とは ?

2020-12-22 | マンション〔団地・複合用途〕

 

不動産登記においても 種類としては用途により 〔 居宅・店舗・事務所・

倉庫・車庫〕 などと区分されます

お店部分と住居部分とで成り立っている管理組合のための標準管理規約

(複合用途型)では 費用関係について 以下のような規定になっています

                            <省略アリ>



コメント
この規約は、区分所有者全員の共有物である敷地、全体共用部分及び附
属施設のほか一部の区分所有者の共有物である一部共用部分につい
ても全体で一元的に管理するものとし、管理組合は全体のものを規定し、
一部管理組合は特に規定していない。

第2節 費用の負担
(全体管理費等)
第25条 区分所有者は、敷地、全体共用部分及び附属施設の管理に要する
経費に充てるため、次の費用(以下「全体管理費等」という。)を管理組合に
納入しなければならない。
一 全体管理費
二 全体修繕積立金

全体管理費等の額については、住戸部分のために必要となる費用と店舗
部分のために必要となる費用をあらかじめ按分した上で、住戸部分の区分
所有者又は店舗部分の区分所有者ごとに各区分所有者の全体共用部分の
共有持分に応じて算出するものとする。

(一部管理費等)
第26条 一部共用部分の管理に要する経費に充てるため、住戸部分の区分
所有者にあっては第一号及び第三号に掲げる費用を、店舗部分の区分所有
者にあっては第二号及び第四号に掲げる費用を、それぞれ管理組合に納入
しなければならない。
一 住宅一部管理費
二 店舗一部管理費
三 住宅一部修繕積立金
四 店舗一部修繕積立金

2 前項各号に掲げる費用(以下「一部管理費等」という。)の額については、住
戸部分又は店舗部分の各区分所有者の一部共有部分の共有持分に応じて算出す
るものとする。

(全体管理費)
第28条
全体管理費は、敷地、全体共用部分及び附属施設の次の各号に掲
げる通常の管理に要する経費に充当する。
一 管理員人件費
二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費
四 備品費、通信費その他の事務費
五 全体共用部分及び附属施設に係る火災保険料、地震保険料その他の損
害保険料
六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
十 管理組合の運営に要する費用
十一 その他第36条に定める業務に要する費用(第29条から第31条
までに規定する経費を除く。)

(住宅一部管理費及び店舗一部管理費)
第29条
住宅一部管理費は住宅一部共用部分の、店舗一部管理費は店舗一部共用部分
の、それぞれ次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。

一 管理員人件費
二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費
四 備品費、通信費その他の事務費
五 一部共用部分に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
十 その他第36条に定める業務に要する費用(住宅一部共用部分又は店
舗一部共用部分のみに係るものに限る。次条及び第31条に規定する経
費を除く。)

(全体修繕積立金)
第30条
管理組合は、各区分所有者が納入する全体修繕積立金を積み立てるものとし、
積み立てた全体修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費
に充当する場合に限って取り崩すことができる。

一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 敷地、全体共用部分及び附属施設の変更
四 建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)
に係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他敷地、全体共用部分及び附属施設の管理に関し、区分所有者全
体の利益のために特別に必要となる管理

(住宅一部修繕積立金及び店舗一部修繕積立金)
第31条 管理組合は、住戸部分の各区分所有者が納入する住宅一部修繕積
立金及び店舗部分の各区分所有者が納入する店舗一部修繕積立金を、それ
ぞれ積み立てるものとする。
2 住宅一部修繕積立金は住宅一部共用部分の、店舗一部修繕積立金は店舗
一部共用部分の、それぞれ次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充
当する場合に限って取り崩すことができる。
一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 一部共用部分の変更
四 その他一部共用部分の管理に関し、当該一部共用部分を共用すべき区
分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

(区分経理)
第32条 管理組合は、次の各号に掲げる費用ごとにそれぞれ区分して経理
しなければならない。
一 全体管理費
二 住宅一部管理費
三 店舗一部管理費
四 全体修繕積立金
五 住宅一部修繕積立金
六 店舗一部修繕積立金


 

 コメントにある 一元的管理をしている管理組合でさえ 上記のように ある意味
複雑 です
住宅部 と 店舗部 ということで 個性と個性の兼ねあい・ぶつかり合いの調整を 
どうしても避けにくい というところから シンプルさの追及にも限度がある という
ことでしょうか ?

複合用途型は 独特な生い立ち(駅前密集地などでは 広い意味の周辺開発計画

等も絡んだりしていて)

を抱えていたりして とても複雑な組織機構になっていたりし 業務上関わらせてい

ただいた折も とても学習になった というより 理解に苦しむようなこともあり ?

旧態依然の規約そのままなどというところではガップリ四つに組めるまで そうとう

な時間を要したりしました

 

さて

店舗の管理費及び修繕積立金が 住戸のそれの2.45倍となっているマンション

で 専有面積1㎡あたりの額が住戸の管理費等の平均額の2倍を超える部分は

法30条3項 民法90条に反するので無効

との東京地裁の判決が 翌年の高裁の判決では 2倍を超える部分も有効とされ

たりしました

店舗の業種は 不動産会社・飲食店・理容店・保険代理店・印刷関連会社・スナック店

整形外科リハビリ科・建築設計事務所・マッサージ店・喫茶店 などで

前審では

『非常に多くの顧客が利用すると想定されるショッピングセンターのようなもの

と想定し難い・・』

というようなことも 判断されていたりしましたが

控訴審では 事情を総合すると 格差を設けることに必要性と合理性が認められる

とされたのでした


 

(規約事項)                                  区分所有法

第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。

 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。

 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。


 

 

居室の使用目的の差異からのことでは 居住用か事業用なのかにおける管理費のことでは

東京地裁の平成27年12月17日判決は 事業用物件の管理費を居住用物件の倍額とす

る規約の効力が 区分所有法30条3項違反として否定されています

( 営利目的の事業用なので その居室からの収益が想定されるし そうであれば管理費の
負担能力が高いはずだから とか 共用部分の使用頻度のこともあるのだから差があっ
てもよい とは言えない

 というような理解がされたことによる判決 とも読めるといえそうです)

 

衡平性とは ?

管理経費などについて 規約や集会の決議で持分割合とは異なる割合などを定めること

は可能 ですが・・・

団体の構成員間での差をどこまで認め得るのか ?

なかなか一義的な結論を見通すことが難しい論点である といえますでしょう

とにもかくにも ≪差≫ というものが 発生してしまう ことなのです から

その 差の理由付けを できる限り納得してもらえるよう努めなければならないのですから

当然 タイヘンなエネルギーを必要とされることです   

 

                           はたけやまとくお事 務 所


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