おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

相殺のこと

2024-06-03 | マンション管理関連試験等サポート   

 

今朝は 久しぶりに 陽光をいっぱい浴びることができることができました

当地は スッキリと晴れることが少ない春 そしてその以降もまた

という感があります ?

皆さんのところは いかがですか ?

 

さて

本日の マンション管理士過去問学習です



                     ※    〔問い方(肢の順番を変える等も含み)を変えて
                         利用させていただいている場合があります
                         法令等改正があった場合に内容を現行のものと
                         整合させるため出題当時の問題を改めているこ
            A            と等もあります〕 

 

Aがその所有する甲マンションの101号室を、賃料を月額10万円としてBに賃貸し、
これを使用中のBが、Aに対し、5月分の賃料10万円の支払を怠った場合に関する
次の記述につき、民法の規定及び判例による正誤を答えなさい。
なお、AB間に相殺禁止の特約はないものとし、遅延利息については考慮しないも
のとする。

1 
Bは101号室の敷金として20万円をAに差し入れているが、Bは、Aに対し、当該敷
金返還請求権20万円のうち10万円と5月分の賃料10万円とを相殺することはできない。

2 
Bが101号室の故障したガス給湯設備の修繕費用として適切である10万円を支出し、
AB間に費用負担の特約がないときは、Bは、Aに対し、当該費用の償還請求権10万
円と5月分の賃料10万円とを相殺することができる。


3 
BがAに対し弁済期が到来した50万円の貸金債権を有しているとき、Bは、Aに対し、
当該貸金債権と101号室の5月分の賃料10万円及びいまだ支払期限の到来していない
6月から9月までの賃料40万円とを相殺することができる。


4 AがBに対して不法行為を行った結果、BがAに対する損害賠償債権30万円を有し
ているとき、Bは、Aに対し、損害賠償債権30万円のうち10万円と101号室の5月分の
賃料10万円とを相殺することはできない。



 
相殺 の要件等 については 505条があります 
下記 条文を参照ください

次の判例があります
《・・・敷金返還請求権は、賃貸借終了後家屋明渡完了の時においてそれまでに生じた
 被担保債権を控除しなお残額がある場合に、その残額につき具体的に発生するもの
 と解すべきである。・・・               最判昭48・2・2》

 

1 について                       正しい

 賃貸借においての金銭給付債務を履行しない場合に 賃借人側から敷金を債務の弁済
 に充当せよとの請求をすることは許されないので 本肢の相殺をすることはできない
     
     判例
    《敷金返還債務が生ずる前に賃借人に債務不履行が生じた場合、賃貸人は敷金
     をもって延滞賃料に充当できるし、充当することなく未払賃料の支払いを別
     個に請求することもできる。          大判昭5・3・10》

 賃借人は 担保権の処理についての権限を有していないので 敷金を未払い賃料に充
 当することを請求する権限はない

 下記 622条の2 を 参照ください

 
 
2 について                       正しい
 
 Bは Aに対して本肢にある修繕費用について必要費償還請求権を取得しているので
 それと未払賃料債権とを相殺することができる

下記 608条 を 参照ください
 
 
 
3 について                       正しい
 
 Bは 期限の利益(払うべき期限がきていないので 本来なら未だ支払義務はないのだけれど)を
 放棄することができ そうすることにより[双方の債務が弁済期にあるとき]という 相殺するた
 めの要件を充たすことができるので 肢の貸金債権と賃料債権との相殺が可能になる

下記 136 ・ 505条 を 参照ください
 

 
 
 
4 について                       誤 り
 
 Bは 不法行為に基づく損害賠償債権を有する側の者であり 相殺が禁止される場合には該当しな
 いので肢における相殺は可能である

下記 509条 を 参照ください
 
 




                          〈条文に省略部分がある場合もあります〉

(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条 
期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することは
できない。

 
(相殺の要件等)
第五百五条 
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるとき
は、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債
務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合に
は、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、
その第三者に対抗することができる。

 

(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止
第五百九条 
次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権
者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)

 
(賃借人による費用の償還請求)
第六百八条 
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ち
その償還を請求することができる。
2 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九
十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求
により、その償還について相当の期限を許与することができる。

 

第四款 敷金
第六百二十二条の二 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸
借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃
借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合におい
て、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃
借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないとき
は、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、
敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない

 


            

本日の過去問は 

2018年度

問14 です

                 

                     

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