おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

相続させる

2010-08-26 | 行政書士 〔相 続 : 遺言〕


○○所在の宅地は△△に相続させる


いわゆる 
[相続させる]旨の遺言
の扱いについて
最大の論点は 遺贈(遺言による贈与)なのかどうか
ということでしょう

判例は
原則 特定の相続人に特定の財産を得させることを指示する遺産分割方法を定めたもので
もしもその特定の財産が特定の相続人の法定相続分を超えるときは 相続分の指定を伴う
遺産分割方法を定めたもの

それなので 原則 
何らの行為をも要しないで 
被相続人死亡時に 
直ちに 
その特定相続人に 
相続 により承継される

としています



以上の理解(相続させるとは 遺贈ではない)を前提にすると
遺贈の場合は 遺贈だけの放棄で相続は承認 もあり得るが
相続放棄をすると この他の相続財産も取得できない

この遺言によって取得した不動産または共有持分権は 
登記なくして
第三者に対抗できる
(この解釈は 遺贈や遺産分割によって法定相続分を超える
権利を取得した受遺者・相続人は登記なくして第三者に対抗
できない という判例と 明らかに整合性に欠ける)

などなど いろいろ注意するべきことが浮かんできます




この 相続させる という遺言形式を遺贈ではないと解釈することは 主な不動産などが相続人の
一部に 直接帰属する ということですから 結果として 重要な財産がアッサリと遺産から抜け出
てしまい 遺産分割が意味をなくすことになります

遺贈でなく 相続 なので 他の相続人の知らない間に
単独で
相続登記ができてしまうのです
(遺贈なら共同での申請です)

遺言は それと矛盾する生前処分や別の遺言で簡単に撤回され 相続開始後 利害関係人に示さ
れる遺言が ただ一つのもの かつ 有効 という保証はないはずなのです
なのに 単独相続登記ができてしまう
他方で 相続放棄をした後で遺言がみつかり そこで受益者となっていた場合には もう受益者とし
ての権利がない




とにかく 遺贈ととらえるか そうでないかでは 諸々問題が
大きすぎます

私の支持する(もちろん私の支持などなんの価値もありませんが)論者の説は 次のようなもの

≪遺言による財産の処分は 相続人に対するものでも原則として
遺贈
と解釈し 
相続分の指定は 分数的割合を示して法定相続分を変えるケースに限ることにし 
分割方法の指定も 方法の選択(金銭に変えてから分割する とか)の指示に限ることにすべき

要点は 遺言処分は不服が多く発生しやすく
利害関係人から遺言無効の主張

相続人間の公平性の尊重の問題もあるのだから
つまるところは 当事者による遺産分割手続を経る必要性は
そうとう強い
ならば 早い決着による危険よりは 公正手段を尊重すべき
すくなくとも 単独申請でのアッサリを優先するあまり 分割手続までをも不要とするのは 行き
過ぎ
(亡くなった方がほんとうに望んだことが どこにあったのか はそもそも大問題 
だからこその慎重さが必要)≫





というわけで 少々どころか とても堅苦しい内容になってしまい
ました
日頃とても気になっていることなので
記してみました
(もっとも私自身には財産などと呼べるものは無いので アッサリとしたものですが)







さすがに 早朝と 晩は ややしのぎ易くなってきました

政界と経済情勢は マスマス暑苦しくなってきました
まったくのところ
スーパーマンでなくとも
一応の筋を通せる政界人・経済通の方 
現れてくれそうもないのかなー




 

 

 

 

 

 

                       

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