学習に励んでも、現行の条文に基づいてのものでなくては、意味がない とい
うか 害になる ということもあります。
自身の基本書・条文集など、現行のものであるかどうか、念のため、確認しつ
つ進める必要があります(当然のことですが、自身の過去の規準のままでの知識
解釈では、受験にも、実務にも多大な支障をきたしてしまいます)。
最近あつらえた基本書なので心配はない、という理解をなさっている方もおられ
ますが、その購入後に改正施行があった(サマザマな改正が連続して一時に、で
はなく、不連続な改正施行が行われたということもあるので)、という場合もあ
り得るのです。
もちろん、過去の条文に基づく必要の実務などもありますが、現行条文に疎くて
は話になりません(自身への、おおいなる戒めでもあります)。
(余計なお世話っぽく 笑われそうです・・が・・あえて、記させていただきま
した)
さて、本日の、オリジナル問題学習です。
2問あります。
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民法の以下条文のうち、平成29法44によっては改正が無かったものは、どれか。
1. (心裡留保) 93条
2. (虚偽表示) 94条
3. (錯 誤) 95条
4. (詐欺又は強迫) 96条
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正解 2
第二節 意思表示
(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、
そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意では
ないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができ
ない。
※ 2項が新設された。
(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の
目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされてい
ることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第
一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗するこ
とができない。
※ 錯誤の効果を〈取消〉とした。善意で過失がない第三
者に対抗できないことが明文化された。
(無効)ではなく(取消)となったので、錯誤による
取消権は追認をすることができる時から5年で消滅
(126条)することなど、改正点が多い。
(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がそ
の事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に
対抗することができない。
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ⅩとYは同郷であり学生時代にも付き合いがあり、互いに金銭の貸し借
りをしていた。
卒業の数年後、Yは地元で、Xは遠方の出向地で暮らし数年行き来がな
かった。そのような折、XはYに金銭貸借につき相殺の通知のメールを
したが、その当時、Yは交通事故により意識不明状態が続いていたのだ
ったがⅩはそれを知らなかった。
このような状況における場合において、正しい肢はどれか。
1.相殺の意思表示は意思能力のないYに到達していなかったのであるから、
その後の状況に拘わらず、相殺の意思表示をⅩは対抗できない。
2.後にYが回復した時に、相殺の意思表示が到達したと解釈され相殺の効果
をXは対抗できることになる。
3.Yが意思能力回復後に当該相殺の意思表示を知った後、相殺の意思表示を
ⅩはYに対抗できる。
4.相殺は単独行為なので、意思表示が到達したと解されるなら、Yの了知に
関係なく相殺の意思表示をXはYに対抗できる。
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正解 3
改正後の98条の2第2号の明文によって、例外的に意思表示を受領者に対抗
できるようになることが定められています。
(意思表示の受領能力)
第九十八条の二 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかった
とき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手
方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この
限りでない。
一 相手方の法定代理人
二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方
(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、
通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の
制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。