建物を新築したなら まず 表示に関する登記である建物表題登記をして 登記簿をつくります
建物表題登記というものは 権利に関する登記を入れるための 名前をつけられたボックスに例
えることができそうです(表示に関する登記をしない限り 所有権保存登記のような権利に関す
る登記はできません なにしろ それを置いておく場所がない ということなのですから)
表題登記をするのは 原則 不動産が新たにできたときなので 建物については新築 土地につ
いては 埋め立て です
表題登記は 義務 です が
権利に関する登記は各人の自由 です[登記して対抗力を得ておくか否かは 各権利者にまか
せるべき私的自由がある事柄 ということなので]
所有権保存登記は 表題部の登記をした不動産について その所有権を明確にするために甲区
(所有権に関する事項の登記が記載される)に行う登記です
所有権保存登記により甲区がつくられ 抵当権設定など所有権以外の権利が登記される乙区に
関する登記は 所有権保存登記をした後にはじめておこなうことができます(所有権保存登記
は 権利に関するすべての登記の前提になるので 順位番号は必ず1です)
保存登記ができるのは 原則として 表題部に記載されている所有者であるので 表題部所有
者から所有権を取得した者は 自己の名義では保存登記ができないので 一旦表題部所有者の
名義で保存登記をしてから 所有権移転登記をする という流れになります
ただし 区分建物の場合については例外規定があり 表題登記をしたマンション分譲業者が保
存登記して買主へ所有権移転登記とはせずに 買主名義での保存登記をする(いわばひと手間
を省略する)ということが認められています(この流れの区分建物の場合は 保存登記の原因
欄に[令和〇年〇月〇日売買]などと 原因も 記載されることになります
所有権保存登記がなされたときは 表題部の末尾に記載のあった所有者の表示は抹消されます
不動産の現状は正確に反映していなければ公示の意味がない といえるので 現状が変わった
ときには 一致するように変更登記をします
が
変わったのではなくて 登記の記載内容が元々間違っていた場合は その誤りを直すための更正
登記をします(変更の原因となる事柄があるというわけではないので 原因の日付 は記載されません)
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※問い方を変え利用させていただいている場合があります 区分建物の登記の申請に関する次の記述について、不動産登記法の規定による
正誤を答えなさい。
1 区分建物の表題部所有者の持分についての変更は、表題部所有者が、当該区
分建物について所有権の保存の登記をすることなく、その変更の登記を申請す
ることができる。
2 区分建物の敷地権の更正の登記は、所有権の登記名義人について相続があっ
たときは、相続人は、相続による所有権移転の登記をした後でなければ、その
登記の申請をすることができない。
3 区分建物の所有者と当該区分建物の表題部所有者とが異なる場合に行う当該
表題部所有者についての更正の登記は、当該表題部所有者以外の者は、申請す
ることができない。
4 区分建物の表題部所有者の氏名又は住所の変更の登記は、表題部所有者につ
いて一般承継があったときは、その一般承継人は、その登記の申請をすること
ができる。
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1 について 誤 り
表題部所有者又はその持分についての変更登記は 所有権の保存の登記をしたうえで
所有権の移転登記によりすべきであるので 表題部所有者の変更登記によりすること
はできません
下記 32条 を 参照ください
2 について 誤 り
肢の場合は 相続による所有権移転の登記をした後でなくとも 相続人(一般承継人)
として 敷地権に関する更正の登記の申請をすることができる
下記 30条 ・ 53・44条 を 参照ください
3 について 誤 り
不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有
者についての更正の登記は 当該不動産の所有者以外の者は 申請することができない
下記 33条 を 参照ください
4 について 正しい
31条で 表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記
は表題部所有者以外の者は申請することができない とあるが
30条に 表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることが
できる場合において 当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があ
ったときは 相続人その他の一般承継人は当該表示に関する登記を申請することができる
とあるので 本肢の一般承継人は区分建物の表題部所有者の氏名又は住所の変更の登記をす
ることができることになる
下記 30条 ・ 31条 を 参照ください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
記 ※ 条文等に省略ある場合があります
表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる
場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があっ
たときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができ
る。
第二十七条第一号、第二号若しくは第四号(同号にあっては、法務省令で定めるものに
限る。)又は第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項に
関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記
又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)以外の者は、
申請することができない。
か、次のとおりとする。
法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有
法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区
分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」と
いう。)があるときは、その敷地権
表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部
所有者以外の者は、申請することができない。
表題部所有者又はその持分についての変更は、当該不動産について所有権の保存の登記
をした後において、その所有権の移転の登記の手続をするのでなければ、登記すること
ができない。
不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有
者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができない。
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※ 問い方を変え利用させていただいている場合があります
区分建物の登記に関する次の記述について、不動産登記法(平成 16 年法律第 123 号)
の規定による、正誤を答えなさい。
1 共用部分である旨の登記がある区分建物について、共用部分である旨を定め
た規約を廃止した後に当該区分建物の所有権を取得した者は、当該区分建物
の表題部所有者の変更の登記の申請をしなければならない。
2 敷地権の登記のある区分建物について、敷地権の種類について変更があった
ときにする表題部の変更の登記の申請は、当該区分建物と同じ一棟の建物に
属する他の区分建物についての表題部の変更の登記の申請と併せてしなけれ
ばならない。
3 区分建物が表題登記のある区分建物でない建物に接続して新築された場合に
は、当該区分建物の所有者がする表題登記の申請は、表題登記のある建物に
ついての表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならない。
4 区分建物を新築して所有者となった法人が、建物の表題登記の申請をする前
に合併により消滅したときは、当該法人の承継法人は、承継法人を表題部所
有者とする当該建物についての表題登記の申請をしなければならない。
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1 について 誤 り
原因及びその日付欄に [〇年〇月〇日規約設定共用部分] とあったものがなくなり
専有部分(区分建物)が復活するということなので 表題部所有者の変更の登記の申請
をするなどということではありません
建物の所有者は 規約廃止の日から1月以内に建物の表題登記を申請しなければなりま
せん
〔規約を廃止した当時の所有者が登記を申請しないうちに所有権を移転した場合は新所
有者が取得した日から1月以内に 表題登記を申請しなければなりません(58⑦)〕
共用部分である旨の登記は 職権で抹消されます
下記 58条 を 参照ください
2 について 誤 り
本肢の場合 申請に係る区分建物と同じ一棟の建物に属する他の区分建物についての
表題部の変更の登記が 登記官により職権にてなされるので 併せての申請は不要と
なる
下記 51条 ・ 44条 を 参照ください
3 について 正しい
肢の場合は 表題登記の申請は 表題登記のある建物についての表題部の変更の登記の
申請と 併せてしなければならないとされます
※ 48条は 建物の表題登記に関する規定
52条は 建物の表題部の変更登記に関する規定
《48条1項 と 52条1項 は 同趣旨の規定
といえる
表題登記 と 表題部の変更登記の いずれを主
として規定しているかの差異にすぎないといえる》
下記 48条 ・ 52条 を 参照ください
4 について 誤 り
区分建物である建物を新築した場合において その所有者について相続その他の一般
承継があったときは 相続人その他の一般承継人も 被承継人を表題部所有者とする
当該建物についての表題登記を申請することができる
肢においては 合併により一般承継がなされるが 被承継人を表題部所有者とするの
であって承継法人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記の申請はできない
下記 47条 を 参照ください
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記 ※ 条文等に省略ある場合があります
共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分
である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有
者は、当該規約の廃止の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければなら
ない。
前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日か
ら一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。
か、次のとおりとする。
法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有
法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区
分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」と
いう。)があるときは、その敷地権
第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項について変更があっ
たときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部
分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月
以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。
建物が区分建物である場合において、第四十四条第一項第一号(区分建物である建物に係る
ものに限る。)又は第七号から第九号までに掲げる登記事項(同号に掲げる登記事項にあっ
ては、法務省令で定めるものに限る。次項及び第五十三条第二項において同じ。)に関する
変更の登記は、当該登記に係る区分建物と同じ一棟の建物に属する他の区分建物についてさ
れた変更の登記としての効力を有する。
前項の場合において、同項に規定する登記事項に関する変更の登記がされたときは、登記官
は、職権で、当該一棟の建物に属する他の区分建物について、当該登記事項に関する変更の
登記をしなければならない。
当該区分建物についての表題登記の申請は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更
の登記の申請と併せてしなければならない。
併せて申請
表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となっ
たことにより当該表題登記がある建物が区分建物になった場合における当該表題登記がある建
物についての表題部の変更の登記の申請は、当該新築に係る区分建物についての表題登記の申
請と併せてしなければならない。
※既登記非区分建物甲 + 区分建物乙新築 → 甲の表題部変更登記 + 乙の表題登記 を
併せて申請
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取
得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
建物の所有権が原始取得者から第三者(転得者)に移転
したときは転得者が建物の表題登記をするが 区分建物
については原始取得者が所有者として申請しなければな
らない(所有権を喪失した後であっても自己名義で)
区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があっ
たときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表
題登記を申請することができる。
併せてしなければならない(48条)などとされているので
申請義務を負わせ得るのは原始取得者(新築者など)に限定
している)
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本日の問題は 平成30年度 問 18
令和 2年度 問 18 です