遠い日の思い出
中学生の頃
その頃 先生方が夜間宿直を担当していて 某先生がその当番だ
との情報を手に入れると悪友同士 三人が誘いあって 夜更けの
校舎を訪問させてもらい深夜の体育館でたわいもない追いかけっ
こをしたり 保健室でお楽しみのヒソヒソ話をしたりしたのだっ
た(校舎まで 歩いては 一人は1分 一人は およそ10分
一人は およそ20分くらい?だったか ?
小走りで行動したと思うので それほど かからなかったかも)
(その数名の特定の先生のときの秘密のお忍び訪問が 中三のと
きには 定例みたいになっていた・・・迷惑をかけスミマセン
でした・・・そういえば 出前のラーメンまでごちそうにな
ってしまって 先生の夜食代が4倍になってしまったり)
そうしたある折 真夜中の保健室で 熱く 語ったこと の 一つ
〔自分の記憶のなかに浮かんでいるお話〕
「お前は女好きがする顔で モテモテだろう」
『なんだよ その 女好きする っていうのは』
「女子らが お前をハンサムだ と思う顔だってことだよ
そんな中三の常識も知らないのかおまえは」
『バカ言うなよ どこが いい顔なんだよ 自分のことは自分が
一番知ってるよ 自分ながらイヤな顔だって いつも思って
いるよ』
〈 そんなことより 今夜は 惚れてるクラスメートナンバーワン
一人だけ 白状し合うってことにしようぜ 〉
「上等じゃないか それじゃ 言い出しっぺのお前から いけよ」
〈 当然 〇〇ちゃん だろうが 〉
「・・・お前 ふざけてるだろ どこがいいんだよ お前のクラ
スは花盛りで ほかに何人もいるだろうが かわいこちゃんが」
〈 本気だよ なんたって 〇〇ちゃんだ お前にはわからないか
もしれないな 好みがちがいすぎそうだもんな お前とはさ
じゃ そういう お前の面影の最愛の恋しい恋しいアコガレち
ゃんは ダレなんだよ 〉
「・・〇 〇・・ちゃん・・」
〈エッ ⇔ 超けげん顔〉
〈 お前 いい加減に言ってるんじゃないのか やめろよ
オレは真剣に言ってるのに 〉
「やっぱり お前とは 趣味がちがいすぎるんだな おれにとって
は 〇〇ちゃん以外は補欠候補にもならない
・・・たしかにかわいこちゃん という雰囲気ではないかもしれ
ないな でも・・・
なんというか たしかにどこがイイナー というわけでもないんだ
けど とにかく 好き ということじゃないんだ」
〈 好き ということじゃないんだって 嫌いということなのか
フザケルナヨ マジメニやれよ 〉
「 ダ イ ス キ ってこと」
〈 まぎらわしいこというのやめろよ
・・・・・・・・
お前だけ ヤケに真面目そうな顔して黙ってしまっているけど どう
したんだ 順番だから 白状しろよ 約束なんだから ラスト出番に
してやったんだから ビシッといけよ 〉
『・・クラスの子でなくてもいいのか? それならいるよ・・図書クラブ
の子なんだ』
「お前 おれが一流小説家を目指して図書クラブに入るって言ったとき
笑ったけど 今は笑わせようとしてるだろう
どこにカワイイ子がいるんだよ あのシックスガールズのなかに」
『・・・あのなかの 一人にさ・・・ ・・・・』
「わかった もうそれ以上言うな ラブレター渡された とか送られ
たとか言うんだろ・・なにせ ハンサムボーイ だからな」
『 ちがうよ そうじゃないんだよ 』
「ナニが ちがうんだよ」 〈 ドウ そうじゃないっていうんだよ 〉
『・・・反対 だよ・・オレ が 送った ほう なんだ・・・
・・・・・・・・・・・・
でも 無視 なんだ 』
〈 お前 絶対本気でふざけてるだろ やめろよ 俺たちは いさぎよく
白状したんだからな さっさと お前のアコガレの子を言ってしまえよ
直ぐバレルようなことでチャカシテいないでさ 〉
「 同 感 だ」
『・・・ふざけているって・・・
俺に というより お前ら そろって 〇〇サンに
心からあやまれ 』
「・・・・・ ? ? ん それ ほんとのことなのか ?」
〈・・・・・? ? ん ほんとに ホント なんだな 〉
「・・もしかすると・・・」
〈 もしかすると ナンダヨ 〉
「・・・もしかすると・・・ 〇〇さんだって お前がフザケテ送ったと
思っているのかもしれないぞ ほら 〇〇さんって いるのかいないの
かわからないぐらい メダタナイ子で とっても控えめすぎるっていう
か・・・ お前がアコガレテいるなんて 想像もできないことだと思っ
ているかもな・・・それなのに モテモテお前からの直通ラブレターな
んて当然超悪ふざけか お前の名をかたって悪戯してる奴がいる くらい
に思い込んでいたとしてもムリもないかもしれないぞ・・・無視って
そういうことなのかもしれないぜ
・・・・・・
度胸出して
ブツカッテみたら どうだ
おれたちが 偶然に出会うシーンを ジックリ練って
計画してやるからさ」
〈 たまにはお前も いいこと言うな そうだよ
ハンサムボーイくんは 活発さが足りないかもな
チャレンジしてみろよ
お前に お似合いかもな 〉
「そういわれると・・・そう かもな」
人の好ましさの尺度 というのは これほど違っているものなのか
と 遠い昔のその時も そして 今も 思わざるをえないのです
ほんとうに 悩ましいほど不思議 いまもって 不思議すぎる
恋 というか 少年のあこがれ の 思いの色は 永遠の謎の彩り
中学校の陸上
競技場だった
グラウンド