おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

臨機応変の仕組みとは?

2020-07-06 | マンション〔規 約 類〕

今さらながらですが
国にも 憲法という最上位のルールがあり その下に 法律をはじめとして サマザマな
守るべき手法のこと等の決まりがあります

どのような組織においても おおよそ
特別な情況での例外的な扱いが必要となることなどが あり得るでしょう 

マンション管理組合においても 情況によっては 臨機応変に 機動的に ということで 
理事会の決議だけで 管理運営上の懸案を進める場合のことについての考え方が標準
管理規約54条のコメントに登場したりしています
でも それは 応急的な共用部修繕等のことに関してのものです

 

例外的な特別な処置を必要とすべきと思われることであっても 組織の一部の機関だけ
の判断だけで 特例ルールを設定し 執行してしまう というわけにはいきません

当然のことですが ルールを作るものとそれを執行するものを分けて考えることの大切さ
は 理解されなければなりません 〔 組織において ここが 肝心要となるところ です 〕

ルールは マンション管理組合員全体で設定するのが基本 です
それに則って 委任された執行部である理事会が実行します

 

マンション管理組合においてのルールのことを 標準管理規約で あらためて眺めて
みると                                        《条文 省略アリ》

(使用細則)
第18条  対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。

   「 ・ 総会の普通決議で定める
     ・ 理事会で決めることはできない(48Ⅳ) 」

(議決事項)
第48条  次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。

 三  管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
 四  規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止

 

(議決事項)
第54条  理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を
       決議する。
   二  規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する
   四  その他の総会提出議案
   九  総会から付託された事項

 

(細則)
第70条 総会及び理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等につ
      いては、別に細則を定めることができる。

(規約外事項)
第71条
             規約及び使用細則等に定めのない事項については、区分所有法そ
       の他の法令の定めるところによる。

         2  規約、使用細則等又は法令のいずれにも定めのない事項については、
             総会の決議により定める。

                  ※ 規約は 区分所有法という法律の範囲内で成立するものです
                     当然のことですが 法に抵触するものは無効です

                          

(共用部分の管理)
 第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。
       2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
 
 
 
(規約事項)
第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、
        この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
 
   3 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設につき、
      これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他
      の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。
                                                              [区分所有法 省略アリ]
 
                                                                        

 

上記に関して 特別な情況での例外的な扱いが必要となることなどあり [管理費の支払猶予] が
可能かどうかということに関して 

「管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法には 管理費等の支払を猶予する場合も含ま
れるので 総会の決議を経る必要がある 

との判例(東京地判平成20年4月24日)があります

あくまで 一判例であり 判決の理由の詳細内容はつかめていません(スミマセン)

 

ということで 緊急の事態下の処理だから 「理事会権限で規則等をつくり」「管理費等支払猶予」
という手法は どうですか という 相談には OK とは答えられませんでした
「猶予」 を超え 「免除」 となると 法的な理解からするなら 「管理組合全員の合意」となってしまう
のでは と思われるので・・・いくら緊急時の特殊執行と理解するとしても理事会権限ではあり得ない
と答えるしかないので・・・なにせ 規約の許しも 総会意思の許しも 無いところでの執行なので
イロイロと考えてみるのですが・・・ 現行の理解からすると そのように答えることとなりそう です

そうしたことについて 緊急時の 【物】 についての処置だけではなく 【権利・義務】 の特例処置
についても マンションにおける憲法たる規約で認めておく手法があってもよいのではと考えました

今後 規約の 再点検 というか 見直し というか より充実 というか 可能な範囲の臨機応変の
力の付与 ということあたりのことについて 研鑽していかなければ と 自身にも 強く思われました

 

                                      hatakeyamaマンション管理士事務所