いわゆるイデオロギーに基づく抗争の歴史が終わって、今世界の状況は新たな局面に入っている。
そして日本もその発展において岐路に立っているとフクヤマは指摘する。
戦後、軍事、政治、経済、社会、文化すべての面でアメリカに対する強烈な劣等感があり、だからこそ日本の近代化はアメリカ化であった。
しかし、驚くべき経済成長の結果、そういう劣等感は消えた。
そしてむしろこの成功が古い日本のシステムが持っている優越性、つまりプレモダンな伝統によるものが、欧米で見られる古典的な自由主義よりもうまく機能したと見られる。
つまり、<イエ社会>としてのある種の集団主義が企業の長期的成長に適していたのだ。
日本は、この歴史以後の世界に関して、競争的な、したがってそれだけ人間的なヴァージョンを発明したのだ。
領土をめぐる軍事的闘争や、それを核とする古典的な大国としてのステイタスから、新しい技術や高付加価値生産のコントロールをめぐる競争や、そこでの日本の優位に焦点が移ってきた。
言い方をかえれば、ガンジーが指摘した資本主義の社会的罪を日本的感性で克服できる可能性が見えてきたということか?
つまり、かつての日本の戦士がもっていた<気概>や、美的満足感のようなものが巧みに取り込まれている。日本の技術者や労働者は、完全主義の情熱をもって、新しい製品を作り出し、一分のムダもミスもなく生産することに誇りと喜びを感じる。
日本の消費財は、高級なファッションに限らず、スノビッシュなまでに洗練されている。
<気概>というのは人間のパーソナリティの中で、自分自身に誇りを感じ、他人から価値ある存在として認められたいと望む部分を指す言葉だ。ヘーゲルが言ったように、それがあるからこそ人間は人間なのだ。
それはある意味で、富の蓄積と消費だけに興味を持つ経済的な部分の対極にある。
日本においては、経済的な活動とされているものが、実際には<気概>にかかわる行動なのだ。それは個人的な富の蓄積と消費のために行われているのではない。それは、新しい製品を開発し、市場のシェアを広げ、競争相手を打ち負かすことによって得られるプライドのために行われている。
アジアの人々がモデルとして注目しているのは、もはやアメリカではなく、日本のなのだ。 (以上、浅田彰<「歴史の終わり」と世紀末の世界>を参考にまとめてみました)
ウインブルドンテニスの覇者、ジャコビッチ選手が歓喜のあまりコートの芝生を食った。
同じような光景がサッカーW杯でもみられた。
そして日本もその発展において岐路に立っているとフクヤマは指摘する。
戦後、軍事、政治、経済、社会、文化すべての面でアメリカに対する強烈な劣等感があり、だからこそ日本の近代化はアメリカ化であった。
しかし、驚くべき経済成長の結果、そういう劣等感は消えた。
そしてむしろこの成功が古い日本のシステムが持っている優越性、つまりプレモダンな伝統によるものが、欧米で見られる古典的な自由主義よりもうまく機能したと見られる。
つまり、<イエ社会>としてのある種の集団主義が企業の長期的成長に適していたのだ。
日本は、この歴史以後の世界に関して、競争的な、したがってそれだけ人間的なヴァージョンを発明したのだ。
領土をめぐる軍事的闘争や、それを核とする古典的な大国としてのステイタスから、新しい技術や高付加価値生産のコントロールをめぐる競争や、そこでの日本の優位に焦点が移ってきた。
言い方をかえれば、ガンジーが指摘した資本主義の社会的罪を日本的感性で克服できる可能性が見えてきたということか?
つまり、かつての日本の戦士がもっていた<気概>や、美的満足感のようなものが巧みに取り込まれている。日本の技術者や労働者は、完全主義の情熱をもって、新しい製品を作り出し、一分のムダもミスもなく生産することに誇りと喜びを感じる。
日本の消費財は、高級なファッションに限らず、スノビッシュなまでに洗練されている。
<気概>というのは人間のパーソナリティの中で、自分自身に誇りを感じ、他人から価値ある存在として認められたいと望む部分を指す言葉だ。ヘーゲルが言ったように、それがあるからこそ人間は人間なのだ。
それはある意味で、富の蓄積と消費だけに興味を持つ経済的な部分の対極にある。
日本においては、経済的な活動とされているものが、実際には<気概>にかかわる行動なのだ。それは個人的な富の蓄積と消費のために行われているのではない。それは、新しい製品を開発し、市場のシェアを広げ、競争相手を打ち負かすことによって得られるプライドのために行われている。
アジアの人々がモデルとして注目しているのは、もはやアメリカではなく、日本のなのだ。 (以上、浅田彰<「歴史の終わり」と世紀末の世界>を参考にまとめてみました)
ウインブルドンテニスの覇者、ジャコビッチ選手が歓喜のあまりコートの芝生を食った。
同じような光景がサッカーW杯でもみられた。