昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(544)夏は夜・その一

2018-08-30 04:38:13 | なるほどと思う日々
 一時は秋の訪れかと感じられる日々が続きましたが、今日はまた猛暑が戻ってくるとか・・・。
 かの清少納言が「夏は夜・・・」とおっしゃっています。
 ・・・夏は夜 月のころはさらなり やみもなほ 蛍のおほく 飛びちがひたる またただひとつふたつなど 仄かにひかりてゆくもをかし・・・
 
 灼熱の太陽が姿を消し、夜のとばりがあたりを覆うと、女郎蜘蛛の活動の場が繰り広げられる。
 日本画が本来持つ装飾性に目を向けた小茂田青樹が描いた「虫魚画巻 夜露」。
 彼はこれを描いた二年後、41歳で夭折する。

 生きることの純粋性を激しく求めすぎて幾多の挫折を経験したゴッホが、夜のカフェ・テラスの光に引き寄せられるように集まる人々を見て何を感じたのだろうか。
 
 絵の稚拙さを世間から笑われることが多かったアンリ・ルソーの描いた「眠るジプシー女」
 熟睡する放浪の女とライオン、そしてこの光景を淡々と照らす月。
 このシンプルな絵を描けた秘密はルソーの余計なものを持とうとしなかった心なのだろう。
 
 巧みな光の使い方と動植物の写実的な描写によって超現実的な効果を生んだジョン・シモンズの「妖精画」
 現実と無限の境界で、しばしば現実を忘れる「夏の夜の夢」。

 細部にこだわらず人間の心の奥底の真実を、重厚なタッチで描いたルオー。
 「郊外のキリスト」と題されたこの絵から、我々は行き先もなく彷徨したりたたずんだ郷愁にも似た懐かしさを覚える。

          




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