昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(118)文明の進化路線に逆らえるか(27)

2012-05-01 04:44:08 | エッセイ
 日本のこれからのエネルギー政策はいかにあるべきか。
 その意味で、ドイツ、デンマーク、フィンランンド三国の実例を取り上げた、NHKの時任三郎、世界エネルギーの旅は興味深く示唆に富んだものだった。
 
 ①ドイツ、シェーナウ市。
「自分たちの電気は自分たちの手で」を合言葉に原発を含む国策電力会社からの離脱を図る。比較的豊富な水力を利用。しかもダム方式ではなく、自然の流れを損なわない形で。そして先ず160軒の賛同者から始まった。
 送電線の問題があった。4億円の買い取り資金を調達するために、「わたしたちは(電力会社)のきらわれもの」というユニークなPRを全国的に繰り広げ、13万人の協力者を得て実現。電気料金は1割ほど高いが、内何パーセントかは新たな自然再生電力に投資し続ける。
 そして、26年前に始まったこの運動は今や全国的になり、10年後には原発廃止の国家的決断を引き起こした。

 ②デンマーク、ロラン島。
 
 自然のきらわれもの強風を利用した風力発電で島に住む65,000人の電気を賄うまでになった。
 きっかけは40年前島に原発建設計画が持ち上がったことだった。
 政府は、賛否両論を併記した資料を配布し、選挙民の意向により原発建設を断念。
 以後、風力発電に注力、今や、世界一の風力発電設備は世界各国に輸出、日本も買っている。2050年までには自然再生エネルギー100%を目指す。

 ③フィンランド、ユーラヨキ市。
 
 オルキルトオ原発2基が存在し、国の2割の電力をまかなっている。現在3号機建設中。
 問題は核燃料廃棄物。そこで、原発に併設して地下437Mの埋設施設(オンカロ)を建設中。2020年に完成、120年分の核廃棄物を埋蔵する。
 ユーラヨキ市は原発から10キロの場所にあり、原発関連で働く人たちの町である。
「オンカロも100%安全とは言えないが、ものすごい道に踏み出してしまった人間の責任はみんなの責任で、安全な方法を100%に近づけるしかない」と言っている。
 ちなみに電力会社の本社もここにあり、社長共々責任を果たす覚悟を示している。

 以上、各国の事情はいろいろであり、それぞれ完璧なエネルギー解決策と言えないところが厳しい。

 ①ドイツ。エネルギー源は(2010年)石油(33.8%)、石炭(22.8%)、天然ガス(21.8%)原子力(10.8%)、水力、風力その他再生可能エネルギー(7・9%)、しかも世界第6位のエネルギー消費国であり、主要エネルギーの60%を輸入に依存している。

 ②デンマーク、北海油田による石油・天然ガスの供給があり、輸出も行われておりエネルギー資源には比較的恵まれている。風力発電は20%を占める。

 ③フィンランド。寒冷な気候のため暖房用エネルギーの需要が多く、国民一人あたりのエネルギー消費量は世界でもトップクラス。
 エネルギー資源に恵まれてなく、石油、天然ガス、石炭は輸入に依存。原子力に依存する度合いが強い。

 さて、日本の場合はどうか。
 エネルギー資源はほとんど輸入に依存。電力の輸入は不可能。
 原発を廃止する前提としては、メタンハイドレードなど自前の資源開発、自然再生エネルギーの開発が必須となる。
 経済力が国力を左右することを考えればエネルギー問題は焦眉の急の課題である。
 
 


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