昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(292)文明(5)

2014-08-31 05:06:11 | なるほどと思う日々
 通路の向こう側の席に黒いスーツのカップルが座った。
 女の薄手のスカートからスラーッと伸びた白い脚がまぶしい。
 
 ほそい指で裾をつまんだり、伸ばしてたりしいるのが艶めかしい。
 ひょっとして同じ葬儀に参列するのではと期待する。
 しかし、男のネクタイは白だ。残念、おめでたの方だ。

 その先の女性の一団は伊勢志摩へ観光に向かうのだろうか。
 関西弁がうるさい。
 
 
 窓の外へ目を移すと宇治川の清らかな流れ、緑の灌木が水際まで被っている。
 
 暑くなってきた。
 
 西大寺に着くと駅員を探した。何番線で乗り換えるのだろう。
 もう13分しか余裕がない。
 階段を上がってようやく駅員を見つけた。
「これからだと4番線が早いです」
 ていねいに時刻表を開き調べてくれた。富雄まで7分だという。
 
 4番線に発車のベルを鳴らして準急が待っていた。
 ぎりぎり間に合いそうだ。

 富雄に着いたがプラットフォームから見渡す街並みにそれらしき看板はない。
 キオスクのおばさんに訊くと「反対の出口!」とこちらはぶっきらぼう。
 
 何も買ってやらないからかな・・・。

 あせる気持ちでようやく大きな看板をかかげたビルに到着。
 ビルの3階が式場なんだ。
「輝かしい経歴の・・・」
 エレベーターから降りると、故人の紹介が始まっているところだった。
 
 多数のいけばなが並べられ、老齢の僧侶の読経が始まった。
 会社関連の著名な肩書の方々の弔電が披露される。

 焼香を終え、叔父さんに最後のお別れをする。
 
 まぶたはしっかりと閉じられ、鼻梁が高い。
 彫刻のような無機質な物質に変わってしまった。
 頬に触れるとひんやりと冷たい。

 ─続く─
 
 スーパーで売っているうずらの卵からひなが孵ることがあるんだって。
 
 たまに有精卵が混じっているので、それを37℃でひっくり返しながら何日か温めるとカワイイひなが生まれることがあるそうだ・・・。
 
  


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