昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(290)今は仲間に会えない

2015-12-09 07:01:05 | エッセイ
「2015年も押し迫ってまいりました。皆さまにはお元気にお過ごしのこととお慶び申し上げます。・・・伝統の有志新年会を来年も引き続き開催いたします」
 北陸、金沢の中学校を出て東京近辺に住まう仲間の会の有志新年会の案内がメールされて来た。
 義理を欠いているぼくにも? ぼくはうれしかった。

 ・・・義理を欠いているという意味はこうだ。
 何年か前から自費出版しませんかと勧められていたわが作品「レロレロ姫の警告」だが、高額なので断っていた。
 ところが昨年の5月、文芸社から「安くするから出版しませんか」というお誘いが入った。
 先ず家族に相談してみたが、「売れるはずがない。内容も問題だ」ということで大反対だった。
 一旦は諦めたのだが、以前「コンテストに応募するがなかなか受からなくて」というぼくに「自費出版という手段があるじゃないか」と言っていた中学校の同窓生に話したところ、「受けたらいいじゃない。資金が足りないならカンパしてあげようじゃないか」と即座に言ってくれた。そして会を代表する二人が発起人となって、売れるかもしれないと期待してくれた仲間たちの支援で出版することができた。
 たしかに一時は中学の仲間だけでなく、大学の同窓生の中でも応援団長を自任する方も現れ、地元で活躍されているシニアの団体からも評価をいただき、アマゾンのカスタマーズレビューでも望外の評価を頂き、2刷りまで行った。

 しかし仲間内以上はなかなか売り上げは伸びない。
 第二弾として送り込んだ小説、認知症、介護の問題をとりあげた「雪舞う日」も文芸社セレクションに取り上げる価値がある、「レロレロ姫の警告」も延長支援するからダブルでPR効果を、と出版社から励ましてもらった。
 しかし、これもあくまで自費出版であり追加費用がかかるのだ。
 一流企業の経営者であった支援者をして「出版社のリスク負担ゼロの営業戦略を勉強しました」と言わしめることになった。

 たしかにぼく自身はPR如何では売れると思っているのだが、家族にさえ「売れるはずがない!」と言われるほど出版物は水物だ。これ以上支援者に迷惑をかけられない。
 今年の新年会は出版したばかりでまだ期待感はあったのでぼくも参加したが、来年はとても参加する気にはならない。

 しかしそれでもぼく自身は往生際悪く、何かのきっかけさえ掴めば売れるはずだと信じている。これからもいろいろな手立てを講じて(このブログもそうだが・・・)あくせくと努力するのみだ。
 まさに使命を達成できないまま自然界へ帰還を命じられるレロレロ姫の心境そのものです。
 
 支援していただいた仲間に何がしかの恩返しができる目途が立たない限り、面と向かうことのできないぼくをお許しください。