妻の掃除機を繰る音が聞こえる。
チュン太が「ジャー、ジャー」と威嚇している。
そろそろ寒くなってきた。
チュン太の巣を新しいものに交換してやらなければならない。
ぼろぼろだ。
夏のうちチュン太が間引いてしまったのだ。
スカスカで後ろから覗けるほどだ。
最近落ちた藁を一生懸命巣に運んでいる。
巣作りをしているつもりなのだ。
見ていると、入れたり出したりしているだけだ。
今までより大き目の新しい巣を買ってきた。
ところが頑として新しい巣に入ろうとしない。
今まで、ぼくが部屋に入って行くと、照れたように慌てて隠れるように巣に入ったのに入らない。
手で脅しても入らない。
二、三日頑固に入らなかった。
止まり木に乗ることも少なくなった。
元気のない這いずり鳥になってしまった。
拗ねているのかもしれない。
それがいつの間にか入るようになった。
何がきっかけになったのかは分からない。
チュン太の様子がおかしい。
口を半開きにして、バタバタとイラついている。
「おとうさん! 何か変なもの食べさせたんじゃないの!」
妻が抱いたり、水を含ませたりするが、一向に口の半開きが直らない。
そのうち口を開いたまま、目を瞑っておとなしくしている。
「このまま死んだらおとうさんの所為だからね!」
もう歳だし、だいたい雀が十年も生きているのはおかしい。
これがきっかけで死んでしまうことを半ば覚悟した。
「チュン太、治ったよ」
書斎に引っ込んでしばらくしたら妻が言いに来た。
何か吐き出したと言うのだが、ひょっとしてうどんに餅がくっついていたのかもと思い浮かぶ。
「これで、死んでもぼくのせいじゃないな」
「何言ってんの。変なもの食べさせないでよね。おとうさんがわるいんだからね。私が治したんだからね、チュン太!」
ともかくほっとした。
<我と来て遊べや親のない雀>
2000年に噴火した三宅島では、人びとが島から避難すると雀も消えたそうだ。
天敵から身を守りやすく、餌も豊かだから人の近くに住む。
人と寄り添い生きる雀も最近減っているそうです。
雀にとっても受難の時代となっている。
チュン太が「ジャー、ジャー」と威嚇している。
そろそろ寒くなってきた。
チュン太の巣を新しいものに交換してやらなければならない。
ぼろぼろだ。
夏のうちチュン太が間引いてしまったのだ。
スカスカで後ろから覗けるほどだ。
最近落ちた藁を一生懸命巣に運んでいる。
巣作りをしているつもりなのだ。
見ていると、入れたり出したりしているだけだ。
今までより大き目の新しい巣を買ってきた。
ところが頑として新しい巣に入ろうとしない。
今まで、ぼくが部屋に入って行くと、照れたように慌てて隠れるように巣に入ったのに入らない。
手で脅しても入らない。
二、三日頑固に入らなかった。
止まり木に乗ることも少なくなった。
元気のない這いずり鳥になってしまった。
拗ねているのかもしれない。
それがいつの間にか入るようになった。
何がきっかけになったのかは分からない。
チュン太の様子がおかしい。
口を半開きにして、バタバタとイラついている。
「おとうさん! 何か変なもの食べさせたんじゃないの!」
妻が抱いたり、水を含ませたりするが、一向に口の半開きが直らない。
そのうち口を開いたまま、目を瞑っておとなしくしている。
「このまま死んだらおとうさんの所為だからね!」
もう歳だし、だいたい雀が十年も生きているのはおかしい。
これがきっかけで死んでしまうことを半ば覚悟した。
「チュン太、治ったよ」
書斎に引っ込んでしばらくしたら妻が言いに来た。
何か吐き出したと言うのだが、ひょっとしてうどんに餅がくっついていたのかもと思い浮かぶ。
「これで、死んでもぼくのせいじゃないな」
「何言ってんの。変なもの食べさせないでよね。おとうさんがわるいんだからね。私が治したんだからね、チュン太!」
ともかくほっとした。
<我と来て遊べや親のない雀>
2000年に噴火した三宅島では、人びとが島から避難すると雀も消えたそうだ。
天敵から身を守りやすく、餌も豊かだから人の近くに住む。
人と寄り添い生きる雀も最近減っているそうです。
雀にとっても受難の時代となっている。