「ほら、お父さん、見てごらん」
なんと、チュン太が妻の肩にとまっているではないか。
しかも妻の吹くハーモニカの音に合わせて囀っている。
「すごい!」
ついに妻の努力が実って野生がペットになった。
しかし、一日でも間をあけると、そんな習慣は忘れて部屋の中を逃げ回り、カーテンレールに止まったり、果ては我々の手の届かないクーラーの上に安住の場所を得て、ジュルジュ、ジュルジュと勝ち誇った満足の声を上げる。
手を上げて箸を振りかざして脅すが、尻尾を立てて羽を広げてチチ、チチと応戦してくる。
なんとも小憎らしい。
最後の手段と、ハンガーに赤い手袋をつけて威嚇する。
驚いて鴨居に飛び移ったところを頭から押さえ込んで捕まえる。
敵は最後の抵抗とばかり思い切り噛みついて来る。
十姉妹の<チュイぼん天>がおとなしい隠居じいさんなら、<チュン太>は我が家の腕白坊主である。
半年ほどすると、もう色気づいてきたのか、妻が巣箱の外からお出でお出でをすると、尻尾を立てて首を伸ばし、ミュウ、ミュウと猫のような甘えた声を出して迫ってくる。
「可哀相に、ウチはチュイぼん天もオスだし、俊もまだ独身だし、おとうさんだって同じようなもんだし、独身一家だね」と妻は言う。
妻は巣箱の清掃役を俊に命じた。
俊はチュン太を乱暴に扱い、ぎゅっと握って、チュン太を蛍光灯から下がっているヒモに近づけて嫌がらせをする。
チュン太はヒモのような長いものは嫌いなのだ。
嫌がらせをするから俊が嫌いだ。
俊が巣箱に近づくだけでバタバタと逃げ回る。
俊が不在なので、久しぶりにぼくが巣箱を清掃するために二階の部屋に入る。
ぼくの顔を見、声を聞くとさっと巣の中へ隠れてしまう。
巣箱の前で新聞紙を用意しだすと、巣から出てきてチュンチュンと嬉しそうに鳴く。
巣をキレイにしてくれるのが嬉しいよ!と言うように。
久しぶりで水を替える際に巣箱の外へ飛ばした。
所定のカーテンレールに止まった。
そのままにして水を取りに階下に降りて、戻ってくるとピヨピヨと鳴いている。
放っておかれて寂しいよと言っているのだ。
ドアを開けた瞬間、ぼくの顔をめがけてすごい勢いで飛びかかって来た。
・・・なんで放って行ってしまうんだよ!・・・
そう文句を言っているようにこつく。
イタイ、イタイ!
ー続くー
なんと、チュン太が妻の肩にとまっているではないか。
しかも妻の吹くハーモニカの音に合わせて囀っている。
「すごい!」
ついに妻の努力が実って野生がペットになった。
しかし、一日でも間をあけると、そんな習慣は忘れて部屋の中を逃げ回り、カーテンレールに止まったり、果ては我々の手の届かないクーラーの上に安住の場所を得て、ジュルジュ、ジュルジュと勝ち誇った満足の声を上げる。
手を上げて箸を振りかざして脅すが、尻尾を立てて羽を広げてチチ、チチと応戦してくる。
なんとも小憎らしい。
最後の手段と、ハンガーに赤い手袋をつけて威嚇する。
驚いて鴨居に飛び移ったところを頭から押さえ込んで捕まえる。
敵は最後の抵抗とばかり思い切り噛みついて来る。
十姉妹の<チュイぼん天>がおとなしい隠居じいさんなら、<チュン太>は我が家の腕白坊主である。
半年ほどすると、もう色気づいてきたのか、妻が巣箱の外からお出でお出でをすると、尻尾を立てて首を伸ばし、ミュウ、ミュウと猫のような甘えた声を出して迫ってくる。
「可哀相に、ウチはチュイぼん天もオスだし、俊もまだ独身だし、おとうさんだって同じようなもんだし、独身一家だね」と妻は言う。
妻は巣箱の清掃役を俊に命じた。
俊はチュン太を乱暴に扱い、ぎゅっと握って、チュン太を蛍光灯から下がっているヒモに近づけて嫌がらせをする。
チュン太はヒモのような長いものは嫌いなのだ。
嫌がらせをするから俊が嫌いだ。
俊が巣箱に近づくだけでバタバタと逃げ回る。
俊が不在なので、久しぶりにぼくが巣箱を清掃するために二階の部屋に入る。
ぼくの顔を見、声を聞くとさっと巣の中へ隠れてしまう。
巣箱の前で新聞紙を用意しだすと、巣から出てきてチュンチュンと嬉しそうに鳴く。
巣をキレイにしてくれるのが嬉しいよ!と言うように。
久しぶりで水を替える際に巣箱の外へ飛ばした。
所定のカーテンレールに止まった。
そのままにして水を取りに階下に降りて、戻ってくるとピヨピヨと鳴いている。
放っておかれて寂しいよと言っているのだ。
ドアを開けた瞬間、ぼくの顔をめがけてすごい勢いで飛びかかって来た。
・・・なんで放って行ってしまうんだよ!・・・
そう文句を言っているようにこつく。
イタイ、イタイ!
ー続くー