タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

胎盤エキスってどう?

2012-04-10 20:23:10 | 不妊症
今週、妊娠反応が陽性になった不妊外来の患者さんは、
他院で問題は無いから自然にみるように、と言われていたようです。
ですが一見したところ、PCOという病気で子宮も小さく縮んでいて、
月経も不規則になっていました。
放っておいたのでは、なかなか妊娠しなかったでしょう。
タマルさんのような不妊専門病院に初めから来てくだされば。

こういう方にはhMGという注射が利くのです。
hMGはヒューマン・メノポウザル・ゴナドトロピンの略なんです。
訳せば、閉経した女性の尿を集めて作った性腺刺激ホルモン、という意味です。
え?尿から薬を作って注射するの?とお思いでしょう。
実際、以前はそうだったのですよ。
外国では修道院のトイレから尿を集めて精製していたのです。
今では人工的に作れるようになりましたが。

なぜ、閉経後の女性の尿が若い女性の不妊に利くかですか?
それはですね、更年期の女性がタマル産を受診されると、
ときどき血液検査をしてほしい、と言われるのです。
実際、他院では血液検査をする病院もあります。
私は更年期の方には、あえてあまり検査をしません。
なぜかって、もし測っても先ほどのゴナドトロピンというホルモンが
上昇しているだけなのです。

すごく高くなっていたら、それは卵巣からの女性ホルモンの分泌を刺激するホルモンなので、
卵巣の働きが落ちていますよ、という意味なのです。
だから閉経が近くなってくると、脳からhMGというゴナドトロピンが
いっぱい分泌されるわけです。

それに対して若い女性で卵巣はちゃんと働いている場合は、
このゴナドトロピンというホルモンは正常値です。
普段は正常なんだけれど、それでも卵巣で卵が大きくならない、という
PCOという病気の女性に、このhMGというゴナドトロピンを投与すると、
それに刺激されて、卵(ホントは卵胞)が大きくなるわけなんです。

理解できました?
それとは直接関係ないのですが、
こんな他人さまのものが、違う人の役に立つ、という例が他にもあります。
胎盤エキスなんていうのが流行っているでしょう?
中国のある地方では、今でも胎盤を食べるところがあるとか。
この胎盤にもいろいろな成分が入っているのですが、
赤ちゃんを育てる成長因子なんかなんですね。

ときどき注射をして欲しいと来院されるので、
毎日注射をするのも痛そうだから、錠剤になったものを販売しようと思っています。
飲んでみたい、という方、フェイスブックで「いいね」してください。
もし大勢居られたら、本気になっちゃいますよ。

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写真は妊娠22週の胎児です。
顔の前奥に足のような物が見えますが、これがへその緒なのです。
この先に胎盤があるのですよ。