タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

篠山でお産できる所は?

2012-04-23 20:42:23 | 産科
ニコちゃん7歳、ヒロト君5歳、お母さんのお腹の中に赤ちゃんができたんだよね。
ちゃんと動いていたのも見たよね。ちょっと不思議だったかな?
でも私からすれば、お母さんがとてもお母さんらしくなっていたのが印象的でしたよ。
そしてお父さんもね。

前回は病棟が空っぽになった話をしましたが、
1日も空くことなく、また赤ちゃんが生まれましたよ。
お産の病院なんだから当たり前ですよね。
この春、兵庫医大篠山医療センターさんもお産をやめられるようで、
篠山ではタマル産でしか赤ちゃんを産めなくなってしまいました。

今さら、なぜお産をする病院が減るのか、なんて言っても皆さんの興味は薄れてしまったでしょう。
だから、うんと減ったら、また気づいていただけるでしょうか。

最近あった妊娠の話をさせていただきましょうか、
それとも楽しい話がいいかな、と迷ってしまうのですが、
お産の現場も知っていただくためにあえてお話します。
赤ちゃんは五体満足で生まれてくるものだと思っておられるでしょう?
ですが、50人に1人は大きな異常を持って生まれてきます。
お母さんが糖尿病だと、その4倍から8倍の確率で、異常を持って生まれてきます。
だから13人に1人が大きな異常というわけです。

大きな異常っていうのは、例えばこの前退院されたお母さんですが、
その赤ちゃんのお姉ちゃんは、小さい時に心臓の手術をしたのです。
今では定期検診だけですが、もちろん他の人より注意して生きていかなくてはいけません。
また先日は妊娠初期から赤ちゃんの形がおかしいな、と思う胎児がいたのですが、
何でも100%異常と断言できないと、お母さんには言えませんので様子を見ていました。
ちょっと普通と違う可能性がある、なんて言ったらだれでもパニックになってしまうからです。
だから確実になるまで待って、しかも大きな病院を紹介して、もう一度検査をしていただきます。

それでもやっぱり無脳症、という診断でした。
それはね、頭の中に脳が無いっていうことです。
それだったら流産してしまうんじゃないかと思われるでしょうが、
ちゃんと予定日までもって、普通に生まれてくるのですよ。
しかも呼吸もできます。
脳と言っても、新しい脳の部分が欠けていて、生命維持を司る延髄なんかはあるからです。

生まれて呼吸もするのですが、長くは生きられません。
私が若かった頃は全員に超音波検査をする病院の方が少なかった時代です。
だから出生届を書いて、同時に死亡診断書を書くか、
あるいは少しの間生きていても生きていなかったことにして、死産証書を書くか、だったのです。
あるいは呼吸をしないように安楽死させてあげる、などという時代でした。

ですが、今では全員に超音波検査をします。
でもね、こんな環境はわずかこの15年ほどだけの事なのです。
そして日本などの先進国だけなのですよ。
全国の市町村はこの超音波検査を妊娠中に2回だけしか認めませんが、
2回しかしない産婦人科はもはや無いでしょう。
だから14回の健診のうち12回の超音波検査は無料なのです。
血液検査なんてひどいもので、1万円分検査しても7千円しかもらえないなんてザラ。

初めに戻りましょう。
日本人は医療に最高のものを求めます。
そしてそれを達成するには莫大な医療費がかかります。
でも、それが無料だと信じ込んでいる。
だから産婦人科が無くなっていくんですね。
そんな無茶な、ということです。
もちろん他にも原因はありますよ。でも今回のことはそういうことでしょう。

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神はなぜ人間を必要とするのでしょうか?
それは神の理想を成就するためには
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