タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

OHSSを覚えましたか?

2012-04-24 21:06:12 | 不妊症
PCOという病気の女性はすごく多いのです。

PCOというのは何度か書いているので、覚えてもらえたでしょうか?
普通は毎月1個しか大きくならないはずの卵胞なのですが、
たくさん小さな卵胞ができてしまう病気です。
だからなかなか排卵しなくて、月経周期が数ヶ月に1回になる、という病気のことです。
初診の時に超音波検査で、縮んでしまった子宮と、たくさんの卵胞で腫れた両側の卵巣が特徴です。
ホルモンの負荷試験という検査をすると、特徴的なパターンになるので、
病気の程度まで分かります。

治療は排卵誘発剤を使うのですが、飲み薬ではなかなか苦労します。
だから昨年あたりからタマル産の不妊外来では、自宅での自己注射を積極的にすすめています。
それが手応えとしてすごくよくて、今年になってからもこの治療で3人の方が妊娠されました。
ですが問題は多胎妊娠なんですね。
それとOHSSです。

OHSSとは卵巣過剰刺激症候群という、ホルモン注射による人為的な病気のことです。
もともとたくさん卵胞が大きくなる方に注射をするものだから、
その注射のせいで、たくさんの卵胞が一斉に大きくなるのです。
最後に排卵させる注射に変えるのですが、
この時点で4つも5つも大きな卵胞があれば、その周期はキャンセルします。
え~、せっかく頑張ったのに、という思いもあるでしょうし、
だいたい正確にいくつが大きいかは数えにくいのです。
みんな真ん丸ならいいのですが、卵胞は互いに押し合いへし合いするので、
いびつな形をしているからです。

なんとか排卵させる注射まで行ったとしても、
排卵した後に残っているたくさんの卵胞がさらに大きくなっていきます。
だから普通は親指の頭くらいの卵巣が、
テニスボールかソフトボールくらいまで大きくなってしまうこともあるのです。
こうなるとお腹の中に腹水が溜まってきます。
血管の中の液体成分がお腹の中に漏れ出たから起こるので、
血管の中は脱水になります。
だから血が濃くなって血栓症を起こしたり、
肺に水が溜まって肺水腫になったりします。
ひどい場合は入院が必要になりますし、最悪、生命にも危険が及びます。

そんな危険も少しですがある注射薬です。
でも使わないと妊娠しない方が多いのも事実です。
体外受精の時は同じような注射薬ですが、その場合は毎日クリニックで注射します。
もちろん副作用は同じように出る方は居られます。
ただし、ひどくなりそうな方には、採取した人間の卵を全部凍らせるのです。
そうすると妊娠しないので、妊娠した時ほどには副作用が出ないのからです。
一度でも強い副作用が出た方は、体外受精と受精卵の凍結をセットでうけられるといいでしょう。

フェイスブックはこちらhttp://www.facebook.com/tamarclinic


今日は院内での講習会があって、更新するのが遅くなってしましましたね。

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