タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

サイトメガロウィルスの検査は必要有りません

2015-03-03 21:12:44 | 産科
丹波市春日町の結凪(ゆいと)くん、1月30日生まれ。
「人と人を結ぶ、ベタ凪のような穏やかな子に育ってください。
1人目より楽に産めました。
どこかのレストランみたいなお料理で凄かったので、毎回楽しみでした。」

そうですね、今日はお雛さんだったので、お雛様特別メニューでしたよ。
みなさんの家でも、特別にお料理されましたか?

先日、タマル産でも新生児の聴覚障害の検査を導入する予定です、とお話しました。
春頃の導入に向け検討しているところです。
公的な検査なのに、篠山市の議会で助成が認められなかったお話はしましたね。
もう一方の病院には多大な助成をしているのにも関わらず。

それはさておき、赤ちゃんの耳が聞こえなくなるのはなぜか分かりますか?
それはお母さんが妊娠中に感染症にかかったりすることも一因なのです。
風疹やサイトメガロウィルスが有名ですね。

風疹は予防接種を1本注射するだけで、かからないようにすることができるので、
全員が受けるべきなのです。
しかも今なら5千円ほどの助成が有りますから、自己負担は千円ほどなのですよ。
それでも受けてもらえないことが有るのは、この難聴になるかもしれないということを
軽く考えておられるのでしょうね。

一方、サイトメガロウィルスには予防接種が有りません。
かかっても治すすべも有りません。本当は抗ウイルス剤を使用されることも有ります。
しかも風疹の時と違うのは、胎児が感染しても、風疹ほど新生児に障害が出る確率は高くないのですよ。
だから現在のところ、世界的にこのサイトメガロウィルスの検査はしないことになっています。
検査をすることで、かえって妊婦さんを惑わせてしまうからです。

2014年の暮れに、日本産婦人科学会から、全産婦人科医にこのことが冊子で配られました。
簡単に言えば、検査はしないでくれ、というものです。
風疹は全妊婦さんがするのですよ。間違えないでくださいね。

それでも検査のことは少しお話しておきましょう。
サイトメガロウィルスの検査をするとするならば、
まずIgGという抗体の検査をします。
陰性ならかかっていないということです。妊娠中にかからないようにしましょう。
陽性なら、次にIgMという抗体を検査します。
IgMも陽性なら比較的に最近感染した可能性が有ります。

IgGもIgMも陽性の人はさらに、IgG avityという検査をします。
これは低い方がごく最近に感染が有ったということを意味し、
高ければ、妊娠前に感染したのかな、という想像ができます。あくまで確定ではないのですが。

それでどうも妊娠してからの初感染かな、ということになれば、
超音波検査で、胎児の脳に異常がないかなどを検査していくのです。
仮に妊娠中の初感染だったとしても、さらに胎児も感染したとしても、
胎児に症状がでないことの方が多いのです。
さらに言えば、風疹と違って、妊娠前の感染であったとしても、
わずかですが、胎児に影響が出ることが有るというのです。
このへんがややこしい所以ですね。

最近、他の大きい病院からの紹介でタマル産を受診された妊婦さんがおられるのですが、
このIgG avidityという検査がされていませんでした。
それなのに妊娠してからの感染だと言われたそうなので、今検査中なのです。
ですが、検査をしたからと言って、確実なことはわからないのです。
だから生まれてから、新生児の全員に聴覚検査をしようではないか、ということなのです。
惑わないためには、サイトメガロウィルスの検査は要らない、ということですからね。