げしし。
え。まさか。
やはりそうか。いきなり背筋が寒くなったと思ったら、
若旦那がいつのまにか背後に立っていたという。
「げしし。最近、いいアニメありましたか?」
「いや、ここのところあまり見てないので、
これは、というのはないですね」
「アレ、見ましたか?」
「アレとはなんですか?(人の話を聞かんかい! ないと言うとるじゃろが!)」
「アレですよ、アレ。ほら、疲れたサラリーマンが
美少女に転生するやつですよ。げしし」
「転生モノですか。たくさんありますからね(そんなの、今どき腐るほどあるじゃろが!)」
「そうなんですよ。それでもアレはなかなかですね。げしし」
「そうなんですか。へえ(だからアレじゃわからんのじゃ!)」
「タイトル何でしたっけ? げしし、最近もの忘れが激しくて
あ、そうそう。いま劇場でやってますよ」
「(それを早く言わんかい!)もしかして、
中世ヨーロッパみたいな世界に転生して、空を飛ぶやつですか?」
「げしし。そうです。ソレですソレ。げしし」
「ああ(アレとかソレとか、ええ加減にせえ!)」
「ほら、アノ声優ですよ、アノ。げしし」
「(アレとかソレとかアノとか、ええ加減にせえ!)
もしかして、悠木碧ですか?」
「げしし。ソレですよ、ソレ。悠木碧ちゃんですよ」
「(もう我慢ならん! ぶち殺しちゃる!)
だとしたら「幼女戦記」ってやつじゃないですか?」
「よくわかりましたね。げしし」
「(その首を差し出さんかい!)ああ、
タイトルわかって良かったですね」
「アレは面白いですね。見に行かないんですか。げしし」
「(こちとら仕事で忙しいんじゃ!)いやあ、なかなか忙しくて」
「げしし、心の声、聞こえてますよ」
「え、そうですか」
「ぶち殺すのはいいんですけど、せめて「幼女戦記」の
感想を聞かせてもらえれば。げしし」
「問答無用! スパッ」
「あれれ。首が落ちましたね。げしし。
ちょうどいいですね。この首を持って映画館に行ってください。
軽くなったからいいじゃないですか。げしし」
「生首持って、映画館に行くんですか?」
「おっ、なんだか「ガルシアの首」みたいですね。げしし」
「よく知ってますね、そんな映画」
「げしし。これからはアニメも映画も詳しい生首と呼んでくださいよ」
「その頭、潰していいですか」
「潰して乾燥させて、ハンマーでぶったたくと肉骨粉になりますよ。
その方が軽いですからね。げしし」
「ブチッ、シャーッ、パキ!」
「ああ、ついに粉ですか。
身を粉にしてアニメを見ていた甲斐がありますね。げしし」
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