昨夜、リヒテルズ直子さんの講演を聞いた。題名は「子どもたちの幸せ感世界一のオランダの教育と それを支える政治・マスコミ・市民社会」という長い題目であったが、その通り、オランダの教育を中心に政治、経済、社会生活全般にわたる極めて示唆に富む話であった。
リヒテルズさんは1955年下関生まれで、九州大学大学院卒業後世界各国を回る中でオランダ人と結婚、現在はオランダで教育を中心に多彩な活動を続けている。私は、かねてこのブログでも書いてきたように、日本の今後を見定める上で北欧とオランダの生き方が大きく参考になると思っている。既に彼女の図書『残業ゼロ授業料ゼロで豊かな国 オランダ』をこのブログで紹介したが、直接聞く彼女の話は、新たに目からうろこの落ちる思いであった。
その中身は、1時間20分の話にしては内容が濃く、とてもここに書ききれない。講演レジメをもとに内容を整理しようと思っているが、2,3の主要点だけ列記しておく
・ オランダは4周目(1週目「市民社会の成立(良心の自由の確立など)」、2周目「機会平等の確立(国家主義的反動と戦争の苦い経験からの開放)」、3週目「異文化社会との共生(世界の貧富解消への理想)」、4周目「ポスト・グローバリゼイション(世界規模化する産業社会からの脱皮)」)に入っているが、日本は3周遅れを取り戻して、一気に4周目に追いつけるか?
・大学入試制度を廃止して多様な教育を ・・・ 大学入試試験は、子どもを産業社会の歯車のひとつにするための選別制度。知識の量が人間を幸せにする保証はない。
・小選挙区制をやめて比例代表制に ・・・ オランダは完全比例代表制。小選挙区制は市民の政治参加意欲を萎えさせる! 比例代表制は、少数の意見もその存在を示し、国民はそれらの存在を知り様々な判断をする。例えば、極右勢力が増加すれば、それを見て「何か今の政治に欠陥が生じているのではないか?」と反省する。それがいいのだ。
私がオランダから一番学びたいことは、「ポルダーモデル」――「ワークシェアリング思想」であるが、そのようなことを考えていると、日本がいつ追いつけるのか気の遠くなるような思いである。