旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

甘さによるワインの格付

2007-12-26 14:54:23 | 

 

 今回のドイツの旅で、まったく新しい「酒の甘さ」を体験した。そもそも戦後日本酒の糖類添加によるベタベタ甘さにうんざりして、日本酒離れが起こり日本酒の低迷は今も続いている。
 
一方で、酒は甘くなければ飲むものはいないだろう、と私は思い続けてきた。べたべたしない透明な甘さ・・・、これが酒には欠かせない。ウォトカでもラムでも、あのほのかな甘さがあるから飲むのだ。
 
今回のドイツワイン「アウスレーゼ」で、ブドウの香りの生々しさを持ちながら、しかも重量感を感じさせながら、なおかつ全くべとつかない透明な甘さに初めて出会った。
 
この甘さは何から生まれるのか・・・。もちろん製法技術にもかかわるが、大半は原料たるブドウの成熟度に起因する。つまり、ブドウを摘む時期によって甘さが異なる。長く実をつけ、摘む時期が遅いほどブドウは熟れる。熟れるほど糖度が高まり、それで造るワインは甘くなる。
 
普通に育てれば早く熟れて、摘まないでも熟して散ってしまう。それをいつまでも実を付けさせて糖度を増す。遅いのは11月や12月の雪の降る時節まで実を持たせるそうだ。その摘む時期の順序により、「アイスワイン」――「アウスレーゼ」――「トロッケン」――「ベーレン」などとランク付けして呼ばれるようだ。
 
だから、ワイン製造者にとってブドウの成長度合いこそ勝負となり、蔵にいるよりブドウ畑にいる方が長いと言われるのはその所為だ。

 前回書いた「アウスレーゼ」が美味しかったので、私はドイツの友人に頼んで「2003年もを」を6本、「2004年もの」を3本取り寄せた。彼はリューデスハイムの蔵元から買い入れ、日本に帰るときに(彼は月に1、2回帰国する)手荷物で持ち帰ってくれた。
 
これを職場に持ち込むと、大変な好評を得た。ある女性は「首藤さん、これはいけません。このような美味しい酒を常日頃飲んではいけません。これは禁断の酒です」とまで言った。(写真は2本のアウスレーゼのラベル)
 
この禁断の酒で年を越すべく、手元に未だ2本だけ残してある。
                            
                            


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