昨日、水戸地検に電話をした。
水戸地検か水戸地検土浦支部に保管されているはずの布川事件記録を謄写閲覧するためだ。
俺と杉山は無実なのに犯人にされた。まあ2人とも不良だった。疑われたり、逮捕されたのは仕方なかったとしても、「自白」の辻褄合わせや証言のねじ曲げ、改ざん行為は許されるはずがない。
今も隠し続けている冤罪作りの証を、この自分の手で探したいと思っての謄写閲覧申し入れだ。
「なんだ、見られるの?ならば、早くやれば良かったのに」、連れ合いからは、ポツリと鋭い一撃を受けたが、全くだ。それが出来るとは知っていたが、なぜかやる気にならなかった。
今日は冤罪犠牲者の会の発足だ。我々が目指すのは警察による誤った思い込みによる冤罪作りと検察による証拠隠しを止めさせることだ。
もうすぐ国賠裁判の判決だが、判決は判決として隠されたままにある冤罪作りの証を判らないままにするのは、今後の闘いのためにも許せない思いになって、今回の申し入れになった。
「桜井さんが記録の謄写閲覧に行くとなれば、検察は、事前に肝心な物を隠して見せないんじゃないの」という人もある。まあ証拠隠しの専門家のいる検察だ。それもあるかも知れないが、天網恢々疎にして漏らさずだ。
52年前、俺を犯人に作った主犯の1人、早瀬四郎警部補が言ったなぁ、「桜井、お天道様はみてるぞ!判るまい、知らないだろ、なんて思ってるかも知れないが、みんな判ってんだよ。お前さんが玉村さんを殺したことはな、判ってんだ。な、天網恢々疎にして漏らさず!ってな、お前のやったことは、ちゃんと見られてる。言い逃れは出来ないぞ。素直に認めろ!」やられたなぁ。
今更、記録の書き換えは出来ない。総てを体験して判っている俺がみれば、どんなに隠しても隠す行為が矛盾となって顕れるのが判ると思っている。隠す行為が新しい国賠裁判の証拠になるかも知れない。
そう話したらば笑っていた。
真面目な警察官は嘘や証拠捏造など、したくないはずだ。検察官だって同じだろう。司法試験に合格する頭脳が白を黒に語る力にしか使われないなんて、きっと恥ずかしいと感じている検察官も多いはずだ。
俺たち、冤罪犠牲者の会は、真面目な警察官と検察官を守る闘いでもある。そして、今回の布川事件記録の謄写閲覧は、その闘いの、新しい一歩だと思っている。