桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

豆腐

2016-11-08 | Weblog
先日、上諏訪へ行っての帰り、上野駅構内の蕎麦屋で夕飯を食べた。
時間があれば、駅階上のパンダ口の近くにある馴染みの「かよひ路」に行くのだが、あいにくと20分ほどの余裕しかなかった。
この蕎麦屋は、余り美味くなかった覚えがあって行かないことにしていたが、つい先日、腹が減ったし、少しだけ呑みたい気分で入ったところ、蕎麦の味か美味くなっていた。
まずは日本酒と盛り蕎麦を頼み「1番早く出るツマミは、何ですか?」と聞いた。定番の枝豆を勧められたが、冷凍だと興醒め。「冷奴は?」と言われたのに乗って注文した。
日本酒に冷奴、俺には珍しい取り合わせだが、飲み始めて、フッと親父のことが浮かんで来た。
「お父ちゃんは、良く豆腐を食べていたよ!」
俺が社会に帰って来たとき、父を知る支援者は、何度となく豆腐を食べて飲む父のことを話してくれた。
父も上野駅を利用して東京に来ていたはずだ。もしかすると、この店で日本酒と豆腐のときもあったのだろうかと考えたらば、少し胸が熱くなったなぁ。