スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ファーガーズプロスペクト&対決

2022-02-03 19:57:30 | 血統
 NARグランプリで年度代表馬に選出されたミューチャリーの3代母は,1990年にアメリカで産まれたファーガーズプロスペクトという馬で,ミューチャリーの基礎輸入繁殖牝馬になります。ファミリーナンバー3-d
                                        
 直仔の中で最も活躍したのはデビューした1998年にオープンを勝ち,ファンタジーステークスが2着,阪神3歳牝馬ステークスで3着,翌年にオープンを勝ち,チューリップ賞で2着,桜花賞で4着になったゴッドインチーフという馬。この馬がミューチャリーの祖母になりました。
 ゴッドインチーフの5つ下の半妹からも子孫が発展。この半妹を母にもつのが,2014年にオークスとローズステークス,2015年に中山記念,2016年にレッドカーペットハンデキャップを勝ったヌーヴォレコルトです。
 ファーガーズプロスペクトのひとつ下の半妹も輸入されました。この馬の孫に2013年に優駿スプリントアフター5スター賞を勝ったハードデイズナイトがいます。
 ファーガーズプロスペクトの母の子孫には,一昨年の共同通信杯を勝っている現役のダーリントンホールがいます。
 ファーガーズプロスペクトの3代母はひとつの分枝。ここまで広げるとその子孫には993年にニュージーランドトロフィー4歳ステークス,1994年に平安ステークス,1995年にマーチステークスを勝ったトーヨーリファールや,一昨年のサンバサウジダービーカップを勝っている現役のフルフラットがいます。
 さらにその母は世界的に大きく分枝を広げた馬。2003年にジャパンカップダートを勝ったアメリカのフリートストリートダンサーは,その子孫になります。
 輸入されている馬が少ないので,日本で牝系が大きく広がっているわけではありません。ただ近年のヨーロッパでは多くの活躍馬が出ていますので,これから輸入される馬が増えてくる系統かもしれません。

 これはプロ棋士の実戦の対局になりますから,将棋のルールが分からない人には理解は困難かもしれません。ただ,青野が右脳と左脳の対決をどのように実感しているかは,何となく分かるかと思います。
 1995年2月3日の関西将棋会館での対局で,青野は第1図の局面を迎え,熟考しました。先手が青野です。そして青野はこの局面は優勢であると感じていました。この点は意外に重要です。
                                        
 このとき青野の第一感は☗1七桂でした。これは取られそうな桂馬を逃げながら後に活用しようという手です。この手が本筋であるに決まっていると青野は思いました。これは青野のいい方に倣えば,右脳が☗1七桂を認識し,左脳がそれを本筋と認めたということになるでしょう。
 しかし優勢を意識していた,この意識も左脳による意識ですが,青野はこの局面で☗1七桂と指すと,☖3一歩と打たれてチャンスを逃すのではないかと考えました。これも左脳の働きです。このチャンスを逃すというのは,優勢であったのが互角になってしまうという意味ではなく,優勢であるには違いないが,すぐに勝てる局面にはならないという意味だと理解してください。そこで青野は,この局面でチャンスを逃さない手,つまり早い段階で勝利に結び付ける手はないかと考え,☗6五桂という手を発見します。これは左脳による発見といえるでしょう。
 青野はこの発見により,実戦でも☗6五桂を選択します。これを青野は,右脳は☗1七桂を本筋といっているのに,左脳の誘惑に勝てなかったといういい方で表現しています。以下の指し手は☖8四飛☗3三角成☖同桂☗1六飛で第2図になります。
                                        
 左脳が☗6五桂を発見したのは,第2図のように進むと,後手の1九の成香を,代償なしに取ることができるからです。これを将棋用語で駒得というのですが,駒得を目指すのは将棋のセオリーのひとつです。ですから論理的な認識cognitioがそのような手順を発見したことは,ごく自然なことであったといえるでしょう。
 実戦は第2図から☖1四香☗8五歩☖6四飛☗2六飛☖6五飛☗2一飛成と進んで先手が勝ちました。でも青野の左脳の判断が正しかったわけではありません。

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