スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

NHK杯テレビ将棋トーナメント&十全な認識の分類

2016-03-20 19:25:46 | 将棋
 今日の午前中に放映された第65回NHK杯テレビ将棋トーナメントの決勝。村山慈明七段と千田翔太五段は公式戦初対局。
 振駒で村山七段が先手になり角換り相腰掛銀。千田五段は金を6二に上がって飛車を8一に引くという構え。先手から仕掛ける将棋になりました。
                                    
 先手が早逃げしたところ。後手は△4八とと寄りました。これを取ってしまうと△8六歩~△8七歩と打たれたときに▲同金と取れなくなるので▲6八金右と逃げましたが,この2手の交換は後手が大きく得をしたように思いました。
 ここから△2八飛▲5五角△3八飛成というのはやや不思議な気もする手順。後手は5九や3八に飛車を打っておけば▲5五角とは打たれないからです。逆にいえば打たれることを望んでいたということでしょう。
 先手は打った角を生かして▲6五銀。△2五銀と桂馬を取って攻め合う順もありそうでしたが△同歩と取って▲7三角打を許しました。
 △5二金と逃げておいて▲9一角成のときに△5八とで攻め合いに。次に△6八とと取られる手が詰めろになるので▲7七金右と逃げましたがそこで△9一飛と角を取り▲同角成。手順の流れだけいうと後手の読み筋で進行したような感がありました。ところがそこで△6八とと寄った手は詰めろでなく▲5五桂と打った手が詰めろ。△5四銀打と使って受けたのに▲6一飛の追撃。
                                    
 実戦は第2図から7八の金を取って受けに回りましたが,これ以降は後手の勝ち筋が出てこなかったように思えました。後手はどこかで2五の桂馬を取っておかなければならず,うまいタイミングで取れれば勝ちがあったのではないかと思います。ただ,総じていえばこの将棋は解説の先手の指し手がよく当たっていて,それだけ先手にとっては分かりやすい将棋だったといえます。早指し戦ではこれは大きなアドバンテージになったのではないかと感じました。
 村山七段が優勝。2007年の新人王戦以来の2度目の棋戦優勝です。

 第一種の認識を僕が全面的に否定しないということの理由はこれで理解してもらえたものと思います。とはいえ,それ自体でみれば混乱した観念というのは有と無の関係のうちに無に該当するものです。ですからそれが永遠なる思惟の様態であるということはあり得ません。というよりもそれは持続という観点からみた場合にも,存在するというような記述をすること自体が相応しくない思惟の様態であるということになります。僕は便宜的に混乱した観念が現実的に存在する人間の精神のうちにあるという類のいい方をしますが,本来的にいえばそれは無なのですから,あるという述語が適さない主語であるという点には常に注意を払っておいてください。
 一方,有である思惟の様態,すなわち十全である思惟の様態については,スピノザはその認識を二種類に分類しています。いうまでもなく第二種の認識と第三種の認識がそれに該当します。つまり現実的に存在する人間の精神のうちに十全な観念が発生する認識は,ふたつの様式に分類することができるとスピノザは考えていたといえるでしょう。厳密にいうなら十全な認識が二種類に分けられるのと同じ仕方で,混乱した認識も分類することが可能であったと僕は考えますが,混乱した認識のすべてを第一種の認識とスピノザが規定したのは,この認識に関してはそれを分類する必要がなかったからだろうと思います。逆にいうなら,十全な認識をふたつのタイプに分類したのには,何らかの必要性があったからだと僕は推測しています。これは『知性改善論』の最後の方がトートロジーで終焉してしまっていることと関係しているのかもしれません。ドゥルーズの見解はそうなっていて,僕はそれが『知性改善論』の未完の理由であるという主張にはあまり同意することができませんが,そこで明らかにされた問題を解決するためには,十全な認識をふたつのタイプに分類する必要があったということについては同意できます。
 『知性改善論』は,なるべく早く神を十全に認識するということが目標として立てられています。そしてそのためには,所与であるような何らかの十全な認識が必要であるとされているのです。

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