スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

霧島酒造杯女流王将戦&アベマズのポン

2021-10-16 19:05:12 | 将棋
 9日に霧島ファクトリーガーデンで指された第43期女流王将戦三番勝負第一局。対戦成績は西山朋佳女流王将が14勝,里見香奈女流名人が10勝。これはNHK杯の予選の3局を含んでいます。
 霧島酒造の社長による振駒は歩が5枚出て西山王将の先手。先手の中飛車に後手の里見名人が向飛車に振っての相振飛車。先手が後手に攻めさせる展開となり,その攻めが続くかどうかが焦点になりました。
                                        
 後手が4四の銀で5五の歩を取り,先手の飛車が5六から逃げた局面。後手は歩が二枚になったことを生かして☖1四歩☗同歩☖1五歩☗同香☖1四香と攻めていきました。
                                        
 先手は第1図で☗1六歩と受けたのですが,☖1五香☗同歩に☖4二香と打たれました。ここから☗2六歩☖4六銀☗2五歩☖4七銀不成☗2四歩☖3六銀成と一直線の駒の取り合いに。
                                        
 第3図まで進んでしまうと後手の成銀と香車の働きが強すぎ,先手がかなりの劣勢となっています。なので第2図では,☗同香☖同飛と進め,先手を取って受けなければいけなかったということになるでしょう。
 里見名人が先勝。第二局は19日に指される予定です。

 10巡目にパイレーツが8萬という牌を捨てると,アベマズがポンの発声とともに手の内にあった2枚の8萬と合わせて3枚の8萬を副露しました。
 すでにフェニックスは2つの副露を入れています。実際はテンパイしているわけではありませんが,他のプレイヤーは,テンパイしていると推測しておかしくありません。そしてその手が,アベマズを逆転するだけの材料になっていると他のプレイヤーが認識していることは,すでに説明した通りです。そのフェニックスが得点を獲得すれば,フェニックスが1位でアベマズは2位で試合終了です。ですからアベマズはフェニックスが得点を獲得する前に,自身が得点を獲得して,南4局1本場に向わなければなりません。事前にいっておいたように,アベマズはこの局は最低でもテンパイに向かわなければならないのですが,この状況はすでにテンパイだけでは十分でなく,フェニックスより先に得点を獲得しなければならなくなっているのです。ですから副露して得点の獲得を目指しにいくのは当然の選択です。
 このとき,フェニックスの手の中には,7萬と9萬がありました。したがってもしアベマズがポンをしていなければ,フェニックスはこの8萬をチーしてテンパイしていました。フェニックスの手は,8萬をチーしてテンパイをするより,7萬か9萬を引いてきてテンパイする方がいいのですが,それでも,チーすることができる牌をポンされてテンパイすることができなかったのは,フェニックスにとって痛手であったことは間違いないといえるでしょう。
 これはここでの考察と無関係な補足ですが,近藤はチーという発声はしていません。しかしそれはチーする気がなかったからではないと思われます。ポンとチーが同時に発声されると,ポンが優先されるので,その発声がないことを確かめた上でチーという発声をしようとしていたのだと思われます。もしそこでタイミングをずらさずに発声してしまうと,自身の手の中が,8萬をチーできる状態になっているということ,つまり6萬と7萬を持っているか,7萬と9萬を持っているということが他のプレイヤーに分かってしまい,著しく不利になるからです。

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