スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

新人王戦&パイレーツの手

2021-10-19 18:58:37 | 将棋
 11日に指された第52回新人王戦決勝三番勝負第二局。
 古賀悠聖四段の先手で矢倉。後手の伊藤匠四段は急戦を匂わせましたが持久戦にすることを選択。このために玉と飛車と角が集合するような陣形になり,どうするのかと思ったのですが,うまくほぐすことに成功しました。
                                        
 第1図の後手陣はぱっと見るとかなりの悪形に感じられます。ここで☖1四歩と突きました。先手は☗7九玉と囲いに向い,☖1三角に☗8八玉で囲いは完成。ただ後手は☖8六歩☗同銀の突き捨てを入れてから☖3五角と飛車取りに飛び出しました。
 ここで☗3六飛はあり,これは銀を1筋に追い返されますが,実戦よりはよかったのかもしれません。先手はそちらを嫌って☗2八飛と引きました。これには☖4六角。
                                        
 これで角が交換することが確定し,後手の飛車も働くこととなりました。これで後手が優位に立っているようです。第1図から先手が玉を囲わなければならないのであれば,実際は見た目ほど後手が悪かったというわけでもないようです。
 連勝で伊藤四段が優勝。棋士デビューから1年で棋戦初優勝を達成しました。

 おかしいと感じたというのは漠然としたものであって,実際にこのときに近藤が第三種の認識cognitio tertii generisで認識した事柄は,もっと具体的なものです。そしてそれは,僕がこの局の具体的な内容の検証の前にいっておいた,各々のチームが基本的にどのように打つかということと関係しています。
 パイレーツにとって最悪なのは,順位を落としてしまうことでした。一方,最高なのは順位を上げることです。しかし2位との点差よりも4位との点差の方が小さいのですから,最高の結果が出る可能性よりは,最悪の結果になる可能性の方が高いのです。このためにパイレーツは,3位という順位を受け入れて,このままゲームを終了させることが,最も現実的な選択肢です。そのためには,サクラナイツとアベマズには厳しく打ち,フェニックスに対してはある程度まで協力的に打つのが基本的なラインです。そして,それで4着には落ちないとしても,アベマズに対して失点してしまうことは,2位との点差が開き4位との点差が縮まって南4局1本場に移行するので,最悪に近いくらいよくない結果なのです。
 そういう状況であるにも関わらず,パイレーツはアベマズに対して失点する可能性がある4索という牌を捨てたのです。いい換えれば,アベマズに対して失点するリスクを負って4索を捨てたのです。ということは,パイレーツにはそのリスクを負うだけの価値があるということになります。それが何を意味するのかといえば,パイレーツの手が,順位を上げることが見込めるものになっているということです。近藤が具体的に認識したのはこのことです。つまりパイレーツが4索を捨てた時点で,近藤は,パイレーツの手が,順位を上げる可能性のある手牌になっているということを認識したのです。そして近藤はこのことを第三種の認識によって認識したのですが,僕がここで説明したことから分かるように,このことは第二種の認識cognitio secundi generisによって,論理的に認識するcognoscereことが可能な事柄です。ですからパイレーツの手牌が順位の上昇の可能性を秘めているということについては,アベマズの日向もサクラナイツの内川も,認識の種別に相違はあったかもしれませんが,認識した筈です。

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