スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

妙手⑬&人工肛門

2010-09-19 17:27:08 | ポカと妙手etc
 第81期棋聖戦本戦準決勝より。後手のごきげん中飛車に先手が2枚の銀を繰り出していった将棋。
                         
 4三で金を取りながら作ったと金を後手がひとつ入ったところ。ここで△3一飛という妙手というか鬼手が出ました。後手は飛車を助けるすべはありませんが,このまま▲5一とと取られては金に当たってしまうので,玉から離れた3一で取らせようという意図。手筋としてはありますが,実戦で生じるのは珍しいかもしれません。先手も飛車は取らずに▲7四歩から猛烈な攻め合いとなり第2図。
                         
 30手近く進んだわけですがと金と飛車の関係は変わっていません。先手はここでも飛車は取らずに▲9五歩。△同歩に▲6六角と打ち,△8四銀をみてようやく▲3一と(第3図)と飛車を入手しました。
                         
 部分的にいうならば,取れ,取らないという折衝を延々と続けていたわけですから,先手の方が根負けした格好。局面はまだ少し難しいところが残っているようにも感じられますが,将棋はここで△3八飛と打った後手が勝っています。

 ここでが手術して作った人工肛門というものについて少し説明しておきましょう。実をいいますと僕はこれについて大きな勘違いをしていたのです。
 人工肛門ということば自体は僕も以前から知っていました。確か俳優の渡哲也さんが人工肛門をつけていて,あるいはそういったことから僕もそうしたものの存在を知るようになったのかもしれません。
 僕の勘違いというのは,人工肛門というからには,これは人間の肛門に対して何らかの施術を加えるのだろうと類推していた点です。これは人工肛門ということばから発生する想像。スピノザが第二部定理四〇の備考二で,人間がことばによって観念を形成するのは表象にすぎないということの証明ともいえるでしょう。
 実際の人工肛門というのはそうではなくて,腸から管を繋いで,腹の部分に人工的な肛門を取り付けるのです。よく考えれば大腸に問題があるのですから,いくら肛門に施術をしても無意味なのは当然。排泄物はこの管から出てきて,この管の先に取り付けてあるポケットくらいの大きさのビニールの袋に溜まっていく仕組みになっています。つまり人工肛門使用者,これを専門用語でオストメイトというそうですが,オストメイトはその袋を常にぶら下げているということになります。もちろん袋には量の限界というものがありますから,その袋は付け替えが必要です。どのくらいの頻度で交換するのかということは,たぶん食べる量にも左右されるのではないかと思いますので,一般的にいえるものではないかと思いますが,父の場合は3日に1度くらいでした。ちなみに父は手術後しばらくの間は食事はなしで点滴のみ。その後,お粥から徐々に食べ始め,最終的には何を食べてもよいという状況まで回復したのですが,食べる量というのは入院前の身体の不調を訴えていた時期から比べても激減していました。
 袋の付け替えは入院中は看護師がやってくれますが,退院したら僕のインスリン注射と同様に自分でやらなければなりません。ということで入院中に練習したようですし,また,母もそのやり方を看護師から教わったようです。状況的に父は動けなくなるということも考えられましたので,これは必要なことでした。
 ところで,このように人工肛門をつけても,尿は出るのです。腸から中腹部へ管を通しているのになぜ尿だけは出るのか僕には不思議でしたが,とにかく出るものは出る。ということで,父は人工肛門はつけましたが,だからトイレに行くことがなくなったというわけではありませんでした。
コメント
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