6月30日(日)は日直だった。午後2時過ぎに一過性に意識消失した62歳男性が救急搬入された。
この方は東京都在住で、一人でバイクに乗って北海道を旅行してきた。6月22日に出発したが、6月24日に頭痛が発症した。程度がひどくないので、そのまま旅行を続けていた。
6月30日は北海道からフェリーで東北に戻り、高速道を走って東京に向かっていた。途中のパーキングエリアに休憩のために立ち寄った。そこで意識消失して倒れてしまった。
近くにいた人が救急要請して、救急隊が駆け付けた。救急隊到着時は意識は回復していて、会話も普通に可能だった。頭痛がそれまでよりも強いようだという。
救急隊から搬入依頼が来て、くも膜下出血が疑われた。当院では診断のみで脳外科のある病院に搬送になるが、来てもらうことにした。
患者さんの意識は清明で見当識障害もなく、旅行の行程を話してくれた。すぐに頭部CTを撮影すると、やはりくも膜下出血だった。橋前槽などに出血を認めて、中脳水道内にもあった。シルビウス裂には出血がなく、椎骨脳底動脈領域の動脈瘤を疑った。
地域の基幹病院に連絡した。タイミングが悪く、くも膜下出血の患者さんが搬入されて、脳外科で手術が始まるところだという。他を当たって下さいということだった。
県庁所在地にある脳神経の専門病院に連絡すると、受け入れてもらえた。血圧が140/100だったので、ニカルジピンで血圧を下げて送るようにという指示をもらった。
最初から搬送するつもりだったので、搬入した救急隊を待たせていた。救急車に戻して、そのまま搬送先の病院に向かってもらった。(東京の家にいる妻には、搬入先の病院に向かうよう救急隊が連絡していた)
それにしても、高速道を走行中に意識消失しないでよかった。
休憩で立ち寄ったパーキングエリアは隣県にある。高速道の上り下り(高速道に入るインターの位置)の問題で、当市内の救急隊が出動していた。
そのパーキングから一番近い病院(脳外科もある)に連絡したところ、救急隊は当県の所属なので、当県の病院に連絡するように、といわれたそうだ。
その後、搬送した病院から返事が来ていた。「左椎骨動脈解離によるくも膜下出血」だった。血管内治療もできる専門病院へ紹介したので、患者さんにとって良かった。
椎骨動脈解離による頭痛が発症して、搬入された時は破裂してくも膜下出血になったという経過なのだった。
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