なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

熱中症ではなく菌血症

2024年07月07日 | 感染症

 7月1日(月)に隣町の内科医院から63歳男性が紹介されて来た。ふだんはその医院に糖尿病・高血圧症で通院している。

 炎天下での作業が続いていたそうだ。4日前からの食欲不振・嘔気が続いているという。熱中症で入院点滴が必要という紹介だった。

 血圧90/59mmHgと低下していて、脱水状態だった。脈拍数100/分・酸素飽和度94%(室内気)で体温は37.2℃だった。

 血液検査で白血球16000・CRP35.8と著明な炎症反応の上昇を認めた。BUN57.5・血清クレアチニン2.62と腎障害がある。CK425と筋原性酵素の上昇は軽度だった。

 胸部X線で肺炎像はなく、尿検査・肝機能検査も異常はなかった。外来で診て入院させた先生は、入院後に急性腎前性腎不全として多めの点滴を入れていた。

 入院してからは39℃の発熱が続いた。担当の先生は血液培養検査2セットを提出した。すると、提出した翌日に検査室から2エットからグラム陰性桿菌が検出されたと報告があった。

 屋外で作業する方なので、両手に傷がある。当初はそこから入ったのかとも考えたようだが、グラム陰性桿菌だと内臓由来が考えられる。

 この患者さんは大学病院で胸部大動脈瘤にグラフト内挿術を、腹部大動脈から両側腸骨動脈のYグラフト置換術を受けている。グラフト感染の可能性もあった。

 7月4日に呼吸器外来に来てもらっている非常勤医が、大学感染症内科の先生なので、相談してもらうことにした。「血圧は保っていて食事摂取もできるので、まずはエンピリックに抗菌薬を投与して菌名判明を待つ。グラフト感染が疑われるときは大学病院へ紹介する」というアドバイスを受けていた。

 

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