国際空手道 修徳会 北海道本部 札幌道場稽古日記

北広島市輪厚地区で空手の稽古をしています。練習の内容や、イベント、雑多な情報などを画像で紹介します。

坂の上の雲

2011-12-28 09:06:58 | Weblog
NHKが3年にわたり放送した「坂の上の雲」が先日最終回を迎えた。バルチック艦隊との日本海海戦の映像、「丁字戦法」を取った理由の説明がなかったことと、ポーツマス条約締結以降の国民反応の描写に少なからず不満を感じたが、総じてできのいい作品に分類されるだろう。この作品に重みを与えたのは豪華キャスト人ではないか。中でも乃木稀介役の柄本明の演技は秀逸だった。朴訥さを言葉ではなく半眼で表す、あれ以上でもあれ以下でもない人間像の表現に柄本の役者哲学を見た思いがする。児玉源太郎演じる高橋秀樹の迫力にも圧倒された。あの眼力は桃太郎侍そのもの、伊地知参謀長が震え上がるのも肯ける。さて本題に入ろう。江戸期の日本と欧米諸国との国力差は歴然、というより比べものにならなかった。一方は産業革命を達成し工業が興ったが、その頃日本では帯刀の侍が道の真ん中を歩いていた。もちろん工業は皆無だった。それがわずか数十年の期間で最強を誇るロシア陸軍、海軍を撃破するまで至った。いくら植民地化か、一等国として躍進するか伸るか反るかだとはいえ、ロシアの恐怖におののいていた周辺国が歓喜し独立運動を起こすほどの奇跡だったのだ。さらに特徴的なのはそこには悲壮感はまったくかった。司馬遼太郎も当時を「楽天的国民性」と表現している。だが、その楽天性がそれからの日本を無謀を是とする、肯定方向に導いたのではないかという指摘も多い。陸戦では作戦の妙と、天佑によってクロパトキン軍を退却に追い込んだ。海戦では、丁字戦法という奇中の奇策と、同盟国英国の陰の力でロジェストウェンスキーを撃破したが、日本の総合的国力はそこまでしかなかった。そこまでで一杯一杯だったのだ。軍部も政府も十分それを承知し、戦争終結を視野に入れ戦っていたといえる。つまり大局観があった。しかし後年、昭和17年3月の大本営政府連絡会議で決められた今戦争方針では、「既得の戦果を拡充し、長期不敗体制を整えつつ、機を見て積極的方策を構ず」と海軍の戦域拡大主張を取り入れた愚を犯す。「皇国の興廃は」まさにこの方針にあった。坂の上の雲の主人公、秋山真之が草稿したといわれる「連合艦隊解散の辞」に倣う姿勢はそこにはなかった。

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