本の紹介

派遣契約と業務請負の違いを簡単に説明すると、業務の指示を派遣先から受けることができるのが派遣。一方の請負は受注側の業者がその組織内で指揮命令系統を確立させ業務を完遂しなければならない。小生が管理する部門でも請負契約を結んでいるが、法の遵守のため受注先の管理者を置き直接指示が出せないようにしている。しかしこれを厳密に守っている会社は少ないほうだろう。特に派遣職種の規制が原則なくなったことにより、請負と派遣の恣意的混同が多く見られるようになった。派遣先からは個人が業務を請け負っていると言われ労災を受けられず、業務を請け負っているにもかかわらず派遣と解釈され一方的に仕事を打ち切られる。この本に登場するのはこのように職を失い続け、出口の見えない「ネットカフェ難民」に陥った方々。「自助努力」という言葉が市民権を得た90年代、政情不安の中東で起こった事件から「自己責任論」が台頭してきた。だが、非正規労働者が全就労人口の三分の一を占めるにいたっては、すでに個人の責任ではなく国家の責任である。