晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『男はつらいよ 知床慕情』 75点

2006-11-12 11:03:26 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

男はつらいよ 知床慕情

1987年/日本

「知床旅情」がぴったりな38作目

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

シリーズ38作目で、知床の自然がいっぱい。世界遺産になる20年近く前に撮った景色が大画面に広がり、バックに「知床旅情」の唄が流れると、まるで観光映画のようだ。
そこに住む獣医(三船敏郎)と出戻り娘(竹下景子)親子の情愛を描いている。偶然ヒッチハイクした寅さんが居候して地元の暮らしに溶け込んで、「スナック・はまなす」のママ・悦子(淡路恵子)と獣医との恋の仲人をする。自分の恋には臆病なのに他人の恋は痒いところに手が届くほどキメ細か。寅さんの本領発揮だ。大スター三船敏郎に配慮して、キャラクター設定がズバリ当てはまった回でもある。脇役陣では、船長役すまけいが役得でいい味を出している。
柴又のメンバーでは、満男(吉岡秀隆)の身長が伸びたのに驚かされる。


『父親たちの星条旗』 85点

2006-11-11 19:15:49 | (米国) 2000~09 




父親たちの星条旗


2006年/アメリカ






翻弄された人間を描いて、戦争の悲しさが伝わってくる





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
85



ストーリー

★★★★☆
85点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
80点





「プライベイト・ライアン」のS・スピルバーグ製作、「ミリオンダラー・ベイビー」のC・イーストウッド監督、「クラッシュ」のポール・ハギス脚本というオールスター・スタッフ。おまけに原作が英雄の一人である衛生兵ドクの息子・ジェイムズ・ブラッドリー。これに違わぬ力作だ。
硫黄島という日本の悲劇を生んだ舞台で、1枚の写真がキッカケで両国の運命をまるっきり変えてしまった事実。それに拘った若者3人が背負った重みがヒシヒシと伝わってくる。これは原作の良さもさることながら、ウィリアム・ブロレイスJRとポール・ハギスの脚本によるところが大きい。
戦争によって生まれた報道写真の持つ意味が、これ程強いインパクトを生むことは今でも変っていない。それが政治の武器になる怖さを描いているとともに、戦争の悲惨さを描くのは勿論のこと、翻弄される兵隊やその家族の人生を丹念に描いている。ピューリッツア賞を貰い、この8月に亡くなったジョー・ローゼンタールの感想を聴いて見たかった。
3人の英雄のうち、ドクを演じたライアン・フィリップがアカデミー賞女優リーズ・ウィザー・スプーンとの離婚を忘れるような渾身の演技。レイニーのジェシー・ブラッド・フォードもピュアであるが故、不幸な後人生を送る若者を好演。そしてネイティブ・アメリカンの生い立ちをハンデとしてアル中で悲劇的な最後を遂げるアイラをアダム・ビーラが表情豊かに演じている。この3人のキャスティングが、この映画が成功した最大の要因でもある。
C・イーストウッド監督の評価は、日本兵のドラマ「硫黄島からの手紙」を見終わってからにしたい。






『明日に向って撃て!』 85点

2006-11-11 09:36:03 | 外国映画 1960~79





明日に向って撃て!


1969年/アメリカ







アメリカン・ニューシネマの代表作





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
85



ストーリー

★★★★☆
85点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
85点




音楽

★★★★☆
90点





ジョージ・ロイ・ヒル監督、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード主演。ウィリアム・ゴールデン(脚本)コンラッド・ホール(撮影)、バート・バカラック(音楽)がアカデミー賞を受賞した。「俺たちに明日はない」「イージーライダー」と並ぶアメリカン・ニューシネマの代表作。
1890年代のアメリカ西部の若者2人ブッチ(P・ニューマン)とサンダンス(R・レッドフォード)の青春ドラマ。「卒業」のキャサリン・ロスが女教師エッタで絡む。
少年時代の牛泥棒を手始めに、強盗することでしか生きて行けない2人の若者。人を殺したことがないブッチと泳げないサンダンス。どこかユーモラスで憎めない。
有名なバート・バカラックの「雨にぬれても」をバックにした自転車のシーンは、彼らの幸せの絶頂期である。銀行強盗を続ける彼らには、逃避する世界は南米・ボリビアにもオーストラリアにもなかった。
当時こんな粋でお洒落な映画を作った、才気溢れるジョージ・ロイ・ヒルの手腕が素晴らしい。ストップ・モーションのラスト・シーンが映画史に残る名作だ。






『ガントレット』 80点

2006-11-10 08:21:38 | 外国映画 1960~79





ガントレット


1977年/アメリカ







ちょっとやり過ぎも、ノンストップ・アクションを堪能





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
75点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
80点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
80点





C・イーストウッド監督・主演の刑事アクション。一見してキャラクターは「ダーティハリー」のキャラハン刑事を思わせるが、場所(フェニックス)も人物(ショックリー)も別。アル中でウダツが上がらない刑事が証人(マリー)護送がきっかけで、命がけで権力との戦いに挑む。
すぐ悪の張本人が判ってしまうのに、彼は大卒の娼婦であるマリー(サンドラ・ロック)に言われるまで気付かないところは、当時愛人と言われたS・ロックをしっかり引き立てている。
見ていてノンストップ・アクションは、その朴訥とした刑事魂を如何なく発揮する主人公とともに一緒に旅する気持ちになる。何度も警察官の桁外れの銃撃に会いながら無事なのは、如何にもリアリティに欠けるが、題名の意味を知っていれば納得がゆく。
最後は正義が勝ち、好きな女性と家庭を築こうとする男のロマンを、ジェリー・フィールディングの音楽に乗って演じたC・イーストウッドを楽しみたい。






『ダーティハリー』 80点

2006-11-09 10:59:16 | 外国映画 1960~79




ダーティハリー


1971年/アメリカ






C・イーストウッドの出世作





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
80点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
80点





ドン・シーゲル製作・監督でC・イーストウッド主演。「ブリット」「フレンチ・コネクション」と並ぶ刑事アクションの名作で、C・イーストウッドの出世作でもある。スタッフの考えていたフランク・シナトラが断らなかったら、続編が5つも作られる程の大ヒット作には成らなかっただろう。
サンフランシスコのはみ出し刑事ハリー・キャラハンと、無差別殺人凶・さそり座の男(アンディ・ロビンソン)の一騎打ちの物語で、ストーリーは単純なのに最後まで目が離せない。キャラハンの人物設定が西部劇のヒーローそのもので、悪を憎み正義のためには犯人を殺すことは躊躇しない。この手の映画に大切な悪役の個性も良く出ていて、その後の類似映画のお手本になる名シーンや台詞が満載なので、何回見ても見飽きない。






『ボーイズ・ドント・クライ』 80点

2006-11-08 17:57:12 | (米国) 1980~99 

ボーイズ・ドント・クライ

1999年/アメリカ

キワモノではない純愛物語

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

キンバリー・ピアースが実話を取材して監督・脚本を手掛け、ヒラリー・スワンクがアカデミー賞主演女優賞を受賞。
性同一障害を乗り越え男として必死に生きようとするブランドン(H・スワンク)が、ネブラスカ州フォールズ・シティで出会ったラナ(クロエ・セヴィニー)に一途な思いを寄せる。保守的な田舎街で生まれ育ち、刹那的な日々を変えたいラナにとって、ブラントンは理想的な男に見えたに違いない。何しろ母親はアル中で恋人は元詐欺師で子持ちの上、ラナに付き纏う。仕事は夜の単純作業で将来の希望が見えない。
「性同一障害」という社会性のあるテーマを、正面から問題提起するのではなく、アメリカが持つ社会の歪みを膨らませて訴えている。終盤悲惨なドラマが待っているものの、キワモノではなく2人の純愛物語として出来上がっている。
この映画の成功は、丹念な取材から作り上げたキンバリー・ピアースとブランドンに成り切ったヒラリー・スワンクの主演によるところが大きい。


『パーフェクト・ワールド』 80点

2006-11-07 16:02:00 | (米国) 1980~99 




パーフェクト・ワールド


1993年/アメリカ






K・コスナーの新しい面を引き出したイーストウッド監督





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
80点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
80点





ケヴィン・コスナー主演、クリント・イーストウッド監督・共演のヒューマン・ドラマ。脱獄犯のブッチ(K・コスナー)とフィリップ少年(T・J・ローサー)の友情物語が中心。
イーストウッドは州警察所長役で出演しているが、今回は極めて控えめ。監督業に集中している分、コスナーの新しい面を上手く引き出している。父と子の世界に憧れながら満たされないブッチとフィリップが色々な出会いがあって、徐々に信頼関係ができるシーンも興味深い。コスナーとイーストウッドの2人が絡む場面が少なくても充分楽しめる、味わい深い映画となっている。注文をつけるなら、K・コスナーが脱獄犯らしく締まった身体で出て欲しかった。