父親たちの星条旗
2006年/アメリカ
翻弄された人間を描いて、戦争の悲しさが伝わってくる
shinakamさん
男性
総合
85点
ストーリー
85点
キャスト
80点
演出
85点
ビジュアル
80点
音楽
80点
「プライベイト・ライアン」のS・スピルバーグ製作、「ミリオンダラー・ベイビー」のC・イーストウッド監督、「クラッシュ」のポール・ハギス脚本というオールスター・スタッフ。おまけに原作が英雄の一人である衛生兵ドクの息子・ジェイムズ・ブラッドリー。これに違わぬ力作だ。
硫黄島という日本の悲劇を生んだ舞台で、1枚の写真がキッカケで両国の運命をまるっきり変えてしまった事実。それに拘った若者3人が背負った重みがヒシヒシと伝わってくる。これは原作の良さもさることながら、ウィリアム・ブロレイスJRとポール・ハギスの脚本によるところが大きい。
戦争によって生まれた報道写真の持つ意味が、これ程強いインパクトを生むことは今でも変っていない。それが政治の武器になる怖さを描いているとともに、戦争の悲惨さを描くのは勿論のこと、翻弄される兵隊やその家族の人生を丹念に描いている。ピューリッツア賞を貰い、この8月に亡くなったジョー・ローゼンタールの感想を聴いて見たかった。
3人の英雄のうち、ドクを演じたライアン・フィリップがアカデミー賞女優リーズ・ウィザー・スプーンとの離婚を忘れるような渾身の演技。レイニーのジェシー・ブラッド・フォードもピュアであるが故、不幸な後人生を送る若者を好演。そしてネイティブ・アメリカンの生い立ちをハンデとしてアル中で悲劇的な最後を遂げるアイラをアダム・ビーラが表情豊かに演じている。この3人のキャスティングが、この映画が成功した最大の要因でもある。
C・イーストウッド監督の評価は、日本兵のドラマ「硫黄島からの手紙」を見終わってからにしたい。
明日に向って撃て!
1969年/アメリカ
アメリカン・ニューシネマの代表作
shinakamさん
男性
総合
85点
ストーリー
85点
キャスト
85点
演出
85点
ビジュアル
85点
音楽
90点
ジョージ・ロイ・ヒル監督、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード主演。ウィリアム・ゴールデン(脚本)コンラッド・ホール(撮影)、バート・バカラック(音楽)がアカデミー賞を受賞した。「俺たちに明日はない」「イージーライダー」と並ぶアメリカン・ニューシネマの代表作。
1890年代のアメリカ西部の若者2人ブッチ(P・ニューマン)とサンダンス(R・レッドフォード)の青春ドラマ。「卒業」のキャサリン・ロスが女教師エッタで絡む。
少年時代の牛泥棒を手始めに、強盗することでしか生きて行けない2人の若者。人を殺したことがないブッチと泳げないサンダンス。どこかユーモラスで憎めない。
有名なバート・バカラックの「雨にぬれても」をバックにした自転車のシーンは、彼らの幸せの絶頂期である。銀行強盗を続ける彼らには、逃避する世界は南米・ボリビアにもオーストラリアにもなかった。
当時こんな粋でお洒落な映画を作った、才気溢れるジョージ・ロイ・ヒルの手腕が素晴らしい。ストップ・モーションのラスト・シーンが映画史に残る名作だ。