晴れ、ときどき映画三昧

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「エタニティ 永遠の花たちへ」(16・仏/ベルギー)60点

2018-04-25 13:43:32 | 2016~(平成28~)

・ フランス3大女優を起用、ユン監督による19世紀末の上流社会を再現した大家族の物語。




ベトナム出身、12歳で亡命した自身の生い立ちから大家族に惹かれたトライ・アン・ユン監督がオドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョの実力派女優を起用して19世紀末から続く上流階級の大家族に生きる女性たちを描いた愛と命の物語。

マーク・リン・ピンビンのカメラを始め、美術・衣装など当時の上流社会を再現、監督の美へのこだわりが隅々まで行き渡っている。

A・トトゥが演じたヴァランティーヌを17歳から老女までを一人で演じたが、彼女の一代記というより世代を超え命をつないでいく女性の喜びと悲しみをナレーションと音楽で綴っていく群像ドラマのトップランナー的存在。

従って結婚して6人の子供をもうけ7人目を生まれてスグ亡くし、20年目に夫を亡くすまでが美しい映像とともに流れるように描かれ、うっかりすると置き去りにされそう。

これは双子の息子が第一次大戦に出征して戦死するという深い悲しみが起こっても、娘が修道院へ入るときも同様で取り乱したり大声で泣きわめいたりしない。

中盤からヴァレンティーヌの息子アンリ(ジェレミー・レニエ)と結婚したマチルド(M・ロラン)と従妹のガブリエル(B・ベジョ)夫婦の物語へ。

マチルドはアンリと幼馴染で10人の子供を産み、ガブリエルは親が決めた結婚で理工系の秀才シャルル(ピエール・ドゥラドンシャン)と結ばれ愛を育んでいく・・・。

ユン監督の狙いは、喜びや悲しみを女優たちの感情に委ねるようなドラマチックな盛り上がりを望んでいないようだ。

そのため3人には調度品と同じような扱いに戸惑いもあって、とくに演技派を自負しているB・ベジョとは撮影中衝突もあったと聞く。

出来上がってみると<命には限りがあるが、生と死が繰り返される>という人間の根幹に触れる命の営みの偉大さが伝わってくる。

正直、ユン監督の哲学的な作風とは相性が良くないが、美しい映像とクラシックが流れるフランス100年の上流社会世界に浸ることができた。



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