晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『麦の穂をゆらす風』 90点

2006-11-25 11:11:30 | (欧州・アジア他) 2000~09

麦の穂をゆらす風

2006年/イギリス=アイルランド=フランス

社会派ケン・ローチ監督が本領発揮

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 90

ストーリー ★★★★☆90点

キャスト ★★★★☆90点

演出 ★★★★☆90点

ビジュアル ★★★★☆90点

音楽 ★★★★☆85点

1920年代のアイルランドの独立と内戦を2人の兄弟を通して描いたケン・ローチ監督の力作。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。
今でも英国はIRA問題を抱えていて、長い闘争の歴史は完全に終結していない。これは反英国映画だとの論争に真っ向から挑むK・ローチの勇気に気骨を感じる。
弟デミアンを演じるキリアン・マーフィーは舞台となった南部の町コークの出身で祖父が英武装警察ブラック・アンド・タンズに銃殺されただけに念願の主演。前作の女装ぶりが話題となった「プルートで朝食を」とは打って変っての役柄に渾身の演技。
兄のポードリック・ディレニー、恋人のオーラ・フィッツジェラルド、同志ダンのリーアム・カニンガムも負けず劣らずの好演。そして何より凄いのは、家を焼かれた恋人シネードの母親・祖母はオーディションで選ばれた素人でありながら、土地と家を守る一途な思いを見事に演じていること。フィルターを掛けたようなアイルランドの風景がこの物語の深みを表している。
イラクの紛争を語るまでもなく、世界に同じような問題を抱えている今こそ、ケン・ローチの市井の人々の視点から見た争いの惨さを訴えた映画作りを称えたい。



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