晴れ、ときどき映画三昧

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「炎の戦線 エル・アラメインの戦い」(02・伊)75点

2019-06-22 12:21:23 | (欧州・アジア他) 2000~09

・ ネオレアリズモの伝統を引き継いだイタリアの反戦映画。


第二次大戦の北アフリカ戦線をイタリア軍の一人の志願兵の体験をもとに描いた戦争映画。監督・脚本は「エーゲ海の天使」(91)などの脚本で定評のあるエンツォ・モンテレオーネ。
イタリア軍小部隊の記録や生存者の証言をもとに、イタリアン・リアリズムの伝統を引き継いだ作風が高評価を得た。

’42.10学生志願兵セッラ(パオロ・ブリグリア)がエジプトのエル・アライメンへ着任した。ドイツ・ロンメル将軍の指揮下にいたイタリア軍は、英軍200万の投入で膠着状態となり劣勢を強いられているときだった。
セッラはフィオーレ中尉(エミリオ・ソルフィリッツイ)傘下のレッツォ曹長(ピエル・フランチェスコ・ファビーノ)分隊へ配属されたが、陣地の装備不足は想像を超えるもので、頭を低く、赤痢になっても報告しない、サソリに気をつけろの3か条を命令した伍長がスグに砲撃で戦死。着任早々砲撃されなかったセッラは、3つある奇跡のひとつを使ってしまった。
水250cc/日しか与えられず、砂漠の暑さと喉の渇きに苛まされ、日々の小競り合いで味方は次々と倒れていく。

ロッセリーニ、デ・シーカ、ヴィスコンティなど40~50年代ネオリアリズム(新写実主義)映画として一世を風靡したイタリア映画。その伝統を引き継いだ監督として脚光を浴びたのがモンテレオーネ監督の本作。バリバリの戦争映画ではなく戦争の虚しさを祖国への忠誠を誓い国のため理想を抱いていた志願兵の目を通して描いている。
そして、ドイツ軍からワインを飲みながら参戦しスグ捕虜になると酷評されたイタリア軍名誉回復のため、絶望的な戦いの中で奮戦し退却中に壊滅した第10軍団への鎮魂の意味も込めた作品でもあった。

それは勇ましい戦いではなく「戦争に勇敢な死などない。死体からは腐臭が流れてくるだけだ。」というセリフが生々しい。現地にある戦没者慰霊碑に佇む老人はセッラの晩年だろうか?観客に委ねるラストシーンが印象深い。






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