晴れ、ときどき映画三昧

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「リリーのすべて」(15・英・独・米)75点

2016-09-12 11:56:27 |  (欧州・アジア他) 2010~15

  ・ 自分らしく生きることが難しかった時代のラブ・ストーリー

         

 ニコール・キッドマンが映画化を企画して以来、10年余り漸く完成した本作。

 20世紀前半オランダの画家夫婦アイナーとゲルタの愛の物語。原作は世界初の女性性転換手術を行ったアイナー・ヴェイナーの生涯をモチーフにしたフィクション「ダニッシュ・ガール」。

 監督・はラッセ・ハルストムが降板、「英国王のスピーチ」(10)、「レ・ミゼラブル」(12)のトム・フーバーが担当した。

 <女性の性に目覚めた男性>という難役に挑んだのはエディ・レッドメイン。「レ・ミゼラブル」でマリウス役を演じていたとき、監督から声を掛けられ出演を即答したという。

 アイナーからリリーへ変化していく過程を、姿形はもちろん身振りや仕草まで成り切って、「博士と彼女のセオリー」(14)に続いてオスカー・ノミネートされている。残念ながらデカプリオに譲ったものの遜色ない演技だった。

 N・キッドマンが熱望したゲルタ役は、シャーリーズ・セロン、グィネス・パルトロー、ユマ・サーマン、マリオン・コティヤール、レイチェル・ワイズと難航したが実現せず。オーディションで選ばれたのがスウェーデン若手のアリシア・ヴィキャンティ。

 実像とは大分違うようだが、夫がアイナーからリリーへ変化していく様子を苦しみながら理解しようとする妻の苦悩や葛藤を乗り越え、寄り添う妻の複雑な心境を見事に演じた。オスカー助演女優賞を射止めたが主演でも良かったのでは?

 自分らしく生きることが難しかったこの時代、命の危険を冒してまでも性転換手術を受けたリリーの勇気とその最大の理解者ゲルタのラブストーリーは決して悲恋ではなかった。

 同時に頭では理解できるが、その気持ちについて行けない自分がいたのも事実。

 

 

 
 


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