・ 第二次大戦後デンマークで起こった知られざる逸話をもとにした人間ドラマ。
第二次大戦中ドイツのモデル保護国だったのち43年軍政下に置かれたデンマーク。終戦後、独軍が海岸線に埋めた地雷除去を強制された独軍の少年兵たちとデンマーク軍曹の物語。監督・脚本は長編3作目のマーチン・サントフリート。
原題は「地雷の地」で、15年東京国際映画祭では「地雷と少年兵」という題名で上映された。
異国に置き去りにされた少年兵たちは地雷を扱った経験も殆ど皆無。信管を抜き取る作業は極めて危険な作業にもかかわらず、簡単な訓練で途方もない数の地雷除去作業をさせられていた。
デンマークの西海岸約400kmには150万個の地雷が埋められ、大半が15~18歳の少年兵が担い2600人のうち半数近くが死傷したという。
世界はもとよりデンマークでもほとんど知られていなかったこの事実は、勝利した連合国軍(英国)から独軍の地雷除去をデンマークに要請したからだった。これはジュネーヴ条約違反ではないが、決して誇るべきことではない。
この事実が明らかになったのは98年「強制の下で」という出版によるもので、著者のヘリェ・ヘーイマンは本作のモデルとなったラスムスン軍曹の息子ではないか?と言われている。
ナチを憎むラスムスン軍曹(ローラン・ムラ)は、命令により11名の少年兵が地雷除去するのを監督することになった。
食べ物も与えられず、死と背中合わせの作業は、まだあどけない少年兵にとっては「作業が完了したら故国へ帰す」という軍曹の言葉だけが唯一の希望だった。
家畜のエサを盗み食いして、体調不良で事故を起こすなど作業にも支障をきたしたため、ラスムスンは良心の呵責に苛まれ独断でパンを入手し与えるなど一定の配慮を見せる。
なかでもリーダー格のセバスチャン(ルイス・ホフマン)とは疑似親子のような関係が生まれ、少しづつ彼らへの連帯感や信頼関係が生まれようとしている。
直視できない地雷除去シーンが何度もあり、ハラハラドキドキして心臓に良くない映像が続くなか、休日に浜辺でサッカーに興じる姿はホッとするが、軍曹の唯一の身内である愛犬の爆死で振り出しに...。
一人づつ減って行く少年兵たちが残り4人になったとき、軍曹が決断したことは?
戦争の不条理と残酷さを背景に国家と個人の罪の区別はどうすべきか?を考えさせられる佳作だ。
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